研究課題/領域番号 |
23K01882
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
神徳 和子 福岡大学, 医学部, 講師 (80347541)
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研究分担者 |
Yuri Tijerino 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (20411788)
徳森 謙二 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40253463)
宮崎 康支 関西学院大学, 特定プロジェクト研究センター, 客員研究員 (70868463)
安達 圭一郎 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90300491)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | デジタルMOAI / SNS / 社会的孤立 / 社会的養護 / アフターケア / 自立 |
研究実績の概要 |
日本には約46,000人もの子どもたちが社会的養護施設で暮らしている。社会的養護を受けて育った子どもたちの多くは、原則18歳で児童養護施設や里親家庭などを退所するというルールがある、彼らの多くは、実家というセーフティーネットがないまま自立して生活するという状況に直面する。社会的養護を受けて育った若者は、乳幼児期に親からの虐待を受けた体験を持つものが多く、自己肯定感も低い傾向にある。彼らが、自立後に社会的孤立に陥らないよう支援することは重要である。本研究は、社会的養護を受けて育った若者の社会的孤立を防ぐためのソーシャルネットワークシステム(SNS)を開発することを目的としている。 我々は、若者の社会的孤立を防止するためにはSNSが有効であるという仮説を立て、社会的孤立防止のためのSNSを”デジタルMOAI"と名付けた。””デジタルMOAI”を使って、我々の仮説を検証していく。 本年度は、日本での社会的養護の現状と課題、諸外国との比較を、現地調査、文献検討、などで明らかにした。社会的養護を受けた子どもたちは、退所後、非営利団体(NPO)などが行うアフターケアサービスを受け、自立生活での困りごとに対処する。しかし、アフターケアサービスは地域格差が大きくアフターケアを受けられていない若者も多い。欧米諸国では、里親委託から養子縁組に移行するケースが多い。また、児童養護施設で育つ子どもたちも日本と比較すると欧米諸国は非常に少ないことが明らかとなった。日本の現状のアフターケアでは、児童養護施設自立後、社会的孤立に陥るリスクは高いと考えられる。 以上のことから、社会的養護を受けた後の若者の自立支援と社会的孤立予防のためのSNSの実証実験を、フィールド調査と同時進行で次年度以降実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度では、社会的養護を受けた若者を支援しているNPO法人で、フィールド調査を行い、デジタルMOAIのシステムを、より当事者目線で開発するところまで予定していたが、フィールド調査を行うことの合意形成がまだできていないため、フィールド調査が行えていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
フィールド調査実施の合意形成が行えたら、直ちに倫理委員会へ申請し、倫理委員会承認後フィールド調査を行う予定である。また、フィールド調査をすることと同時進行で、デジタルMOAIのシステム構築の最終段階へ進み、次年度での完成を目指す。 最終年度は、デジタルMOAIの実証実験を行い、成果発表を学会発表、論文投稿などで行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたフィールド調査がR5年度内に行えなかったため、それに伴う出張旅費やフィールド調査に使用する消耗品購入が発生しなかったことにより次年度使用が生じた。次年度はR5年度に予定していたフィールド調査を行う予定であるため、その費用に充当したいと考える。具体的には、社会的養護を受けた子どもたちのアフターケアを支援しているNPO法人の主催する、座談会などに参加し、若者からの聞き取り調査を基に”デジタルMOAI”に追加する機能を抽出する。これは、令和6年8月に実施予定である。また、フィールド調査終了後に”デジタルMOAI”を構築する。”デジタルMOAI”が完成した後、フィールド調査を行った施設で実証実験を行う。
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