研究課題/領域番号 |
23K01887
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
石橋 仁美 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (30583900)
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研究分担者 |
石橋 裕 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 准教授 (50458585)
池知 良昭 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (60967595)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | がん / ルックスケア / アピアランス / 生活行為 / 評価表 / 作業療法 |
研究実績の概要 |
2023年度は、混合研究法による、本プログラムの適用基準及びアルゴリズムを検討する予定であった。本プログラムは、同時進行で開発しているルックスケア評価表(基盤研究C:がん患者の外見と生活の質の向上を目的としたアピアランス自己評価表の開発)を用いるプログラムである。今年度は患者の外見変化、外見ケア(以下ルックスケア)に関する現状について文献レビューを実施した。 株式会社資生堂による8カ国のがん罹患経験者への意識調査によると9割以上が何らかの外見や肌状態の変化を体験し、8割が気持ちが落ち込んだ、消極的になったと気持ちや行動に影響を与えていた。さらに、日本は他国と比べて外見ケアを相談しにくいと考えており、厚生労働省における第85回がん対策推進協議会資料においても初めて外見ケアについて調査が行われ、外見の変化に対する相談ができた成人患者の少なさが報告されている。我々はルックスケア評価表開発において作業療法士へのインタビュー調査も行っており、作業療法でのルックスケアを必要と感じている作業療法士が多いものの実施状況が少ないことが明らかとなった。作業療法では、リハビリテーションプログラムを立案する際、面接や観察を通して患者が必要とする生活行為を掲げる。しかしながら、患者が外見の変化について相談しづらいことを考慮すると、介入する生活行為として外見の問題は挙がりづらいことがわかる。 日常生活と外見の問題に関する質問項目に「できている・できていない・関係ない」の3項目で回答してもらう自記式質問紙であるルックスケア評価表を用いることで、作業療法士は患者の外見に関する課題と日常生活の課題を同時に把握することができ、リハビリテーションに取り入れることができることが期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
同時進行している研究(ルックスケア評価表の開発)の進行がやや遅れており、さらに本プログラム内容作成に関わる作業療法士アンケート調査の結果を分析中であるため、その結果が出次第、プログラム構成を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、別研究で行っている作業療法士アンケートの結果から作業療法でルックスケアを取り入れる課題を明らかにし、それらを解決するようなプログラム内容を作成する。 作成したプロトタイプのプログラムを、がん患者を担当する作業療法士へ伝授し、実際に作業療法で取り入れてもらう。 2025年度は実施した作業療法士へのインタビュー調査を行い、さらにプログラムを改良する。最終版のプログラムを全国の作業療法士へ伝授しがん患者へ実施してもらう。介入したがん患者の事例報告や作業療法士インタビュー調査によりプログラムが社会に広く普及するために必要な事柄を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は文献レビューを中心に行ったため、学会発表や本プログラムの内容を検討するための研究者間の打ち合わせで生じる旅費の使用はなかった。 2024年度は、本プログラム内容を検討するための遠方の研究者との打ち合わせで生じる旅費や、プログラムで使用する化粧品やその他道具の購入、プロトタイプのプログラムを実施してもらうための作業療法士への謝礼などに研究費を使用する予定である。
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