研究課題/領域番号 |
23K01889
|
研究機関 | 新潟青陵大学 |
研究代表者 |
李 在檍 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 教授 (40460323)
|
研究分担者 |
齊藤 勇紀 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 教授 (40648440)
藤瀬 竜子 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 教授 (40639093)
浅田 剛正 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 教授 (10521544)
小林 智 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 准教授 (60806206)
小林 大介 新潟青陵大学, 福祉心理子ども学部, 助教 (80910968)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 児童養護施設 / 社会的養護 / アフターケア |
研究実績の概要 |
本研究では、退所者に対するアフターケアを担当する職員(計5人)を対象に児童養護施設でのアフターケア実施上の課題についてインタビュー調査の結果を施設ごとにインタビュー逐語記録を作成した上、複数領域の研究分担者の視点から分析し,考察した。 児童養護施設でのアフターケアにおける課題やその背景について,ディスカッション逐語から47個の発言(仮説)が抽出された。47個の仮説は47個の構成概念へと再構成され,それぞれの構成概念は3つの大カテゴリー,6つの小カテゴリーへと分類された。1つ目の大カテゴリーは「A:子どもとの適切な距離感」であり23個の構成概念が含まれた。大カテゴリーAは「A-1:関係性の近さに起因する課題(20個)」「A-2:関係の遠さに起因する課題(3個)」の2つの小カテゴリーに分類された。2つ目の大カテゴリーは「B:アフターケアにおける支援の困難さ」であり15個の構成概念が含まれた。大カテゴリーBは「B-1:支援資源の脆弱性(5個)」「B-2:アフターケア像の不明瞭さ(10個)」の2つの小カテゴリーに分類された。3つ目の大カテゴリーは「C:子ども自身が抱える課題」であり,「C-1:心理・発達上の課題(4個)」「C-2:援助要請スキル上の課題(5個)」に分類された。 退所者に対するアフターケアの困難さを生じさせる要因の一つとして,職員と退所者間の関係性から起因する諸課題が潜在することが明らかになった。特に, 職員が手厚く積極的な支援を行おうと退所後のケアに個別的・家庭的に対応することで,職員の業務と私生活のバランス,支援の継続性,要支援課題の範囲が曖昧になり,支援の距離感が揺らぐことによる戸惑い,負担の増加やアンバランスさ等が課題となると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
児童養護施設を退所した児童の自立のための支援における支援課題と背景について、児童養護施設職員の生の声と現場の課題意識を複数の専門家による領域横断的な観点から抽出し、退所者に対するアフターケアの困難さを生じさせる要因を分析できた。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究では、児童養護施設のアフターケアとして、心理面で継続的支援をより効果的に行うために必要な要因を解明する。また、職員と退所者の双方の自立支援の拡充につながる心理的自立支援プログラムを考案し、実践に応用するために、2024年度はA県内の5施設(1施設約1~3名)の退所者約15名を対象にインタビュー調査を実施し、アフターケアに苦慮する退所者の行動特性、困難状況に対する心理的レジリエンスを明らかにすることである。インタビュー調査方法は、インタビューガイドを作成し、半構造化面接を用いて行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
・研究成果の発表(学会開催地)を所属機関(大学)で行い、旅費がかからなかったためである。また、インタビュー調査の結果分析が中心となったため人件費・謝金の支出がなかったためである。 ・2024年度は、退所者へのインタビュー調査の実施による人件費・謝金の支出と調査や成果発表のための旅費を使用する予定である。
|