研究課題/領域番号 |
23K01908
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中前 貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50542891)
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研究分担者 |
森 泰輔 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00569824)
山口 敬子 京都府立大学, 公共政策学部, 准教授 (60772176)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 不妊治療 / 家族形成 / 特別養子縁組 / 里親 / 社会的養護 |
研究実績の概要 |
本研究は、不妊治療患者を対象に、特別養子縁組制度・里親制度の情報提供と、精神的ケアの両立を目指す家族形成支援プログラムを開発し、その有効性を検証することを目的としている。 2023年度には、京都府の産婦人科不妊治療施設において特別養子縁組制度・里親制度に関する情報提供がどの程度行われているのかの調査結果を分析した。制度に関する情報提供を行っていたのは、40施設中4施設(すべて高度生殖補助医療施設)であり、この結果を論文化し、日本生殖心理学会誌にて公表した。全国の男性不妊治療施設を対象に行なった同様の調査についても解析したところ、情報提供を行っていたのは52施設中13施設(25%)で、このうち10施設がmTESE実施施設であった。この結果については、第68回日本生殖医学会学術講演会・総会で発表し、現在論文化を進めている。 また、「不妊に悩む患者へのメンタルヘルス支援」というテーマで、文献的調査を行い、総説としてまとめたものを京都府立医科大学雑誌にて発表した。 さらに、産婦人科不妊治療施設で利用可能な家族形成の選択肢についての情報提供パンフレットを作成し、その有効性を検証した。パンフレット有り群の方が治療や家族形成に関する知識度が向上する一方、初診の段階で特別養子縁組や里親制度に関する情報提供を受けることに消極的な患者が半数近くいることが判明した。この結果については第21回日本生殖心理学会・学術集会で発表し、論文化も進めているところである。同様に、男性不妊治療施設で利用可能な家族形成の選択肢についての情報提供パンフレットの作成も開始することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特別養子縁組制度・里親制度の情報提供がどの程度行われているのかという基本的な調査や不妊治療に伴うメンタルヘルスの問題について、調査結果の論文化や学会発表を行うことができた。さらに、家族形成のパンフレットの作成も順調に進み、有効性を検証する中で、初診の段階で特別養子縁組や里親制度に関する情報提供を受けることに消極的な患者が半数近くいるという新たな知見も得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、全国の男性不妊治療施設において特別養子縁組制度・里親制度に関する情報提供を行っている施設が52施設中13施設(25%)であった結果を論文化し、日本生殖心理学会誌に投稿する。また、産婦人科不妊治療施設で利用可能な家族形成の選択肢についての情報提供パンフレットの有効性の調査結果についても論文化し、日本生殖心理学会誌に投稿する。 男性不妊治療施設で利用可能な家族形成の選択肢についての情報提供パンフレットが完成すれば、その有効性を評価する研究を実施する。 不妊治療患者を対象に、特別養子縁組、里親、夫婦ふたりでの生活を選択した人の体験談を聞くことのできる、1日で完結するシンポジウムを開催し、シンポジウムが家族形成の意向に影響を及ぼすのかを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は家族形成支援を目的としたシンポジウムを実施せず、各種調査を行ったため次年度使用額が生じた。次年度以降、シンポジウムを実施し研究対象者への謝金などにあてる。
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