研究課題/領域番号 |
23K01920
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研究機関 | 湘南医療大学 |
研究代表者 |
西野 由希子 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科作業療法学専攻, 講師 (90608655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 就労定着支援 / 就労支援 / 脳卒中 / 高次脳機能障害 |
研究実績の概要 |
働き甲斐のある人間らしい仕事(ディーセントワーク)を推進することは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の1つである。我が国においても働き方改革の名のもと、治療と仕事の両立支援を行い、働き甲斐のある魅力ある職場を整えることが推進されている。昨今の就労支援において、対象となる障害像も多様になり、医療的ケアを受けながら就労実現を目指す対象者も増えていることや、医療機関における治療から、就労支援へのスムーズな移行も求められており、関連職種間または関連施設間での連携が欠かせないものとなっている背景がある(遠藤, 2020)。就労における課題は、障害者個人にあるだけではなく、就労先の上司や同僚の障害の理解の不十分さや、適切な仕事の提供が行われていないといったように、雇用する企業側にも課題は多くあり、社会モデルの視点も必要である。障害のある個人の状態像を適切に理解し、その上でその人が働きやすい環境を整えることが、働き方改革で求められる「魅力ある職場」を作ることであると考える。 本研究の目的は、働く世代の脳卒中障害者がどのように就労定着に至るのか、またその過程においてどのようなことが就労定着の妨げとなるのか、あるいは逆に効果的に作用するのかを、フォトボイスという参加型アクションリサーチの方法で調査し、脳卒中障害者雇用における課題を明らかにし、起業支援の示唆を得ることである。 本研究は4年間の計画である。1年目:全般的計画立案段階として先行研究の整理と支援者へのインタビューの実施、2年目:脳卒中障害者とのフォトボイスプロジェクトの実施、3年目:脳卒中障害者への就労定着支援のアクションリサーチ、4年目:分析・まとめとしている。 1年目の2023年度は先行研究の整理と支援者へのインタビューである。インタビュー調査は十分に実施できておらず、2024年度も引き続き調査を行なっていく必要がある状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究目的を達成するために1年目2年目の研究計画を見直したことでインタビュー参加者の募集開始が遅れたことから、昨年度中に完了する予定であったインタビュー調査を、現在も継続して実施している。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に実施予定であったインタビュー調査の残りを実施することと合わせて以下の点を修正する。 2年目は、より当事者の経験している事象を当事者の視点から明らかにするためにフォトボイスプロジェクトを実施する。参加型アクションリサーチの一つの手法であるフォトボイスは、一般的には疎外されている、あるいは弱い立場にあると見なされている人々が研究参加者となり、そうした人々が、自身の所属するコミュニティにおける経験に関する写真を作成し、それを共有し、それについて対話する過程で、所属するコミュニティの強みや障壁を反映すること、写真を通して彼らにとって重要な事柄について対話をすること、公共や政策立案者に対して働きかける上で積極的な役割を果たすことを可能にするとされている。そして写真と対話で得られたことを、展示会やインターネット、書籍等にして、それらを社会に発信する。 第1回ミーティングでは、フォトボイスプロジェクトの目的と方法を共有し、今後の計画を対話の中で見直し、第2回ミーティングではカメラの使い方や倫理的な配慮に関わる注意喚起等を行う。それ以降は、自身の経験に基づいた写真を撮影し、ミーティングで持ち寄って共有し、対話を重ねていく。最後には何らかの方法で社会に発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
1年目に実施予定であったインタビュー調査が十分進めることができていないため
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