研究課題/領域番号 |
23K01922
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研究機関 | 聖隷クリストファー大学 |
研究代表者 |
飯田 妙子 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 助教 (70616474)
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研究分担者 |
新宮 尚人 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (80410512)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 精神障害 / 成人期 / 生活技能 / 観察評価 / 生活支援 |
研究実績の概要 |
2023年度はASD傾向を持つ者の日常生活支援ツールとして、「生活行動チェックリスト」と「支援マニュアル」の内容の作成に着手した。 「生活行動チェックリスト」については、研究者が実施した先行研究(飯田・新宮・堀、2020)によって抽出されたASD者の日常生活上の行動特性170項目を、ICFをモデルとして作られた社会機能の構成要素(生活維持機能、作業遂行機能、対人機能、コミュニケーション機能、移動機能、参加機能、その他;山根、2015)に沿って分類・整理し、項目を作成した。その後、研究に精通していない作業療法士(以下、OTR)11名に実際に利用してもらい、回答時の困難さや表現の適切さなど表面的妥当性に関する自記式調査を実施した。90%以上が「問題ない」と回答した項目は採用し、それ以外の項目については内容を再検討した。その結果、チェックリストは35項目(心身機能4項目、身辺処理2項目、生活管理3項目、作業遂行機能7項目、対人機能6項目、コミュニケーション4項目、移動2項目、余暇1項目、参加1項目、背景因子5項目)となった。 「生活行動支援マニュアル」については、医学中央雑誌、Medical Onlineにて検索した青年期・成人期ASD者の支援に関する文献、専門家によって作成されたテキスト37件を参照し、チェックリスト35項目の内容に沿った支援方法を文章化した。また、マニュアルの使用方法やASD支援の基本原則についてもまとめた。その後、研究者6名(OTR、修士・博士号取得者)で内容や表現の適切さを検討し、3回の修正を経て完成に至った。 なお、本研究は所属機関の倫理委員会の承諾を得た上で、全ての対象者から同意を得て実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた支援ツール(生活行動チェックリスト、)の作成に着手し、臨床での実践に用いる準備を行うことができた。 また、次年度から実施予定のデータ収集に協力いただく施設への研究説明・依頼等の準備も並行して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作成したチェックリスト・支援マニュアルを実際の臨床場面でOTRに実践していただき、チェックリスト・支援マニュアルの有用性について検証予定である。 また、研究結果については随時分析を行い、学会発表等を行うことで、ASD支援に携わるより多くの支援者に青年期以降のASDに関する関心と理解を深めていただくともに、支援の課題やニーズについて学び合う機会につなげていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究自体は予定通り進行しているが、研究協力施設や協力者への研究説明等の調整に時間がかかり、2024年度以降にずれこんでいるため、次年度以降に使用する予定である。
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