研究課題/領域番号 |
23K01927
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中尾 元幸 久留米大学, 医学部, 准教授 (60610566)
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研究分担者 |
桑木 光太郎 久留米大学, 医学部, 助教 (60425171)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 生理の貧困 / 月経 / 女性の健康 |
研究実績の概要 |
近年、我が国において生理用品の入手に苦労するという「生理の貧困」が問題となっているが、この問題は本来、生理用品だけでなく、教育の欠如や社会的スティグマによる不利益も包含する概念である。現在、「生理の貧困」支援が実施されている自治体もあるが、支援の効果に対するエビデンスが存在しないため、その継続性については不透明であるという背景から本研究を申請した。申請者は予備調査において、急な生理のために困った経験や生理に対する否定的な認識が、健康に関連した生活の質(Quality of Life: QOL)と有意に関連していることを見出したので、本研究では予備調査を発展させ、思春期女性において「生理の貧困」支援が健康関連QOLに及ぼす影響を明らかにすることで、持続可能な「生理の貧困」支援政策を提言するためのエビデンスを社会に提供することを目的とした。具体的な支援策として学校への生理用品の配布がQOLを改善するかの調査を行うことを計画していたが、提携先の学校が決定せず、実地調査が遅延しているために1年目の介入研究は見送った。その間、すでに利用可能な保健衛生統計のデータを用いて月経関連疾患の受療率や有訴者率の推移について調査し、近年において、月経関連疾患の受療率および月経関連疾患に用いられる薬剤の処方量が急激に上昇していることを見出した。これらの状況は近年の生理に関する社会や医療状況の変化を反映していることが示唆され、次年度以降の介入研究の計画立案の参考として利用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では学校における「生理の貧困」支援の影響について調査する予定であったが、介入を行う学校が決定していないため、実地調査が行えていない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
介入先の学校を選定する作業は継続して行う。それと並行して、予備調査から得られた知見から調査票の再検討を行う。本研究以前の申請者による高等学校での調査研究では月経時の体調不良で医療サービスを利用する者はほとんどいなかったが、本研究1年目の予備調査の結果からは十歳代後半における月経障害で医療機関を受診する人はこの数年で劇的に増加していた。「生理の貧困」問題は単に物質的な欠乏を指すのではなく、教育や医療、情報へのアクセスなども含めた幅広い概念であるため、研究計画段階での調査票よりも、医療サービス利用についての質問を充実するなどの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では1年目から学校における実地調査を実施する予定であったが、調査を実施する学校が決定しなかったため、介入研究に必要な物品を購入しなかったことで次年度使用額が生じた。
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