研究課題/領域番号 |
23K01929
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪 |
研究代表者 |
飯田 直樹 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪歴史博物館, 主任学芸員 (10332404)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 児童保護 / 孤児院 / 小河滋次郎 / セツルメント / 福祉国家 |
研究実績の概要 |
本研究は、小河滋次郎の児童保護に関する主張に光を当て、それが小河の社会事業思想の中核にあることを示した上で、小河の思想の影響を受けて、幼児保育がセツルメントの中心事業になることを明らかにし、さらに、小河の影響が、セツルメントを介して農村での農繁期託児所という領域にまで及ぶ事を示し、小河の思想に新たな意義を見出すことを目指すものである。 今期は、主として各地の公文書館、博物館などに残る資料を調査することによって、①近世期、②近世近代移行期、③昭和初期の三つの時期の児童保護に関して以下の論点や仮説を得ることができた。 ①近世期に関しては、これまで賎民集団(非人集団)が捨て子養育を担っていたと理解されていた地域においても、他地域同様町共同体が担っていたことを示す史料を確認することができ、先行研究の再検討が必要であることが判明した。当該史料については、内容を紹介する論文を現在準備している。 ②近世近代以降期については、少なくとも地方三新法期までは、木更津県や千葉県のように独自の育児政策を採用するところがあり、大阪における民間孤児院への棄児養育委託や、東京における養育院での棄児養育なども、そうした育児手法のバリエーションと考えられること。 ③昭和初期については、この時期に全国の農村部において農繁期託児所(保育所)が普及していくが、全国的な普及にあたっては、大阪の社団法人朝日新聞社会事業団が一定の役割を果たしたと推測されること。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、複数の資料所蔵機関の資料を調査することができ、研究上の論点・仮説を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、資料所蔵機関において関係資料を調査するとともに、今期、十分に検討することができなかった小河滋次郎の児童保護思想について、彼の著作に基づいて検討を加えていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ計画通りに執行できたと考えているが、物品購入において計画より安価に入手したために次年度使用額が生じた。
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