研究課題/領域番号 |
23K01981
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
亀井 文 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (90310846)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | レジスタントスターチ / 生小豆粉 / 粒度 / 吸水率 |
研究実績の概要 |
本研究では、でんぷん性豆の生豆粉末の粒径毎の形態観察およびRS量測定により、高RS量含有生豆粉調製方法を確立することを目的としている。今年度は小豆を用いてミル(強力小型粉砕機Force Mill、大阪ケミカル株式会社)で40秒間粉砕し、ステンレス製篩を用いて粒度500μm以上、355~500μm、212~355μm、125~212μm、125μm以下の5つの粒度の小豆粉砕粉を作成し、各粒度の電子顕微鏡(SEM)による形態観察、RS測定および吸水率の測定を行った。 125μm以下の生小豆粉粒子のSEM観察では、小豆デンプン粒の大きさは小麦粉デンプン粒よりも若干大きいものが見られたが、ほとんど同じであり、形も楕円形でよく似た形態であった。生小豆粉の粒度が大きくなるに従って、デンプン粒は細胞壁に囲われ、細胞壁同士も接着した状態となっているものが観察された。また、小豆種皮も観察された。 RS量については、小豆粉砕粉間では有意差が見られなかったものの、粒度が小さくなるほどRS量が増加する傾向が見られた。125μm以下の小豆粉粒子のRS量は約6%、212~355μmの小豆粉粒子のRS量は約5%、500μm以上の小豆粉粒子のRS量は約3%であり、生小豆粉のRS量は小麦粉のRS量と比べて高いことが示唆されたが、粒子が大きいほどRS量が低くなったことに対しては、細胞壁に囲われ接着した大きい小豆粉粒子は2MのKOHによってもRSを溶解できなかった可能性も考えられる。 また、生小豆粉粒子の吸水率は小麦粉の吸水率と比べて非常に高かった。125μm以下の小豆粉粒子の吸水率は小麦粉の吸水率の約6.5倍、212~355μmの小豆粉粒子の吸水率は小麦粉の約10倍、500μm以上の小豆粉粒子の吸水率は小麦粉の約5倍であり、212~355μmの小豆粉粒子の吸水率が一番高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存のミルを使用し、ステンレス篩を使用して、蓋をし手動で10分間手で振盪することによって5段階の大きさの生小豆粉粒子を調製することが出来たため、ほぼ計画通り研究を進めることが出来た。小豆100gをミルで40秒間粉砕後、粒度別に分画したおのおのの粒度の収量は、粒度500μm以上は約24g、355~500μmは約14g、212~355μmは約18g、125~212μmは約10g、125μm以下は約30gであった。それぞれの粒度の収量からRS量測定、SEM観察試料、吸水率の測定を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は粒度別に5段階の大きさの生小豆粉を調製することが出来たため、今年度はこの粒度別生小豆粉を用いて小麦粉の代替として蒸し菓子を調製する予定である。まずは小麦粉と粒子径が似ている125μm以下の小豆粉粒子を用いて、小麦粉代替率を探り、出来れば100%代替を目指して調製を試みる。代替率を決定した後に、ほかの粒子径の生小豆粉粒子も同様に蒸し菓子を調製を試みる。そして、小豆粉代替蒸し菓子のRS量を測定すると共に、SEMにより蒸し菓子中の小豆粉粒子のデンプン粒の変化を観察する予定である。SEMによる観察で前処理が必要となった場合は凍結乾燥機の購入を考えている。 また、6月末に国際家政学会がアイルランドのゴールウェイで開催されることとなった。そのため、研究の一部を科研費によって進めてきたじゃがいものレジスタントスターチ研究を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度のSEMによる観察時には試料の前処理のための凍結乾燥機の必要は無く観察することが出来たため、まだ購入は行っていない。今年度のSEM観察の前処理において、凍結乾燥機の必要があれば、凍結乾燥機の購入を考えている。 また、今年度は6月末にアイルランドのゴールウェイで国際家政学会が開催されるため、そこに出席して研究発表を行う予定である。昨今の円安に伴って海外渡航費(旅費および滞在費)が急騰しているため、当初計上していた旅費計画を大幅に越える可能性が大きい。
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