研究課題/領域番号 |
23K01989
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
大橋 寿美子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40418984)
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研究分担者 |
志村 結美 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (00403767)
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 共生型集住 / 子育て / 子育ち / BORIKI / 共有庭 / 敷地境界レス / エンジョイビレッジ |
研究実績の概要 |
家族の小規模化や近隣交流の希薄化によって家族や近隣関係のなかにあった子育て・子育ちの機能が低下している。安心して生み育て、豊かな人間性や社会性を育む子育て・子育ちのための居住環境の再構築は我が国の喫緊の課題である。本研究は居住者のニーズに合わせて柔軟に協力関係をつくる共生型集住(コウハウジング)を研究対象として、日本および海外の先進事例の実態を日常の生活行為の共同性と集住形態の対応関係から分析し、日本人の子育て世代の共生意識に基づく、子育て・子育ちのためのゆるやかな共生型集住の複数パタンを提案することである。 初年度である2023年度は、日本の子育て・子育ち共生型集住の先進事例として、低層集合住宅と戸建て集住の新しい取り組み事例の実態調査を実施した。低層集合住宅事例は旭化成ホームズ「BORIKI」である。「つながりを住まいに」をコンセプトにした、中庭を共有する子育て支援がある集合住宅で、子育て支援実績を持つ「お母さん大学」と連携し旭化成不動産レジデンスが子育て支援サポートを行う。コミュニティを促進する「BORIK倶楽部」や「BORIKI新聞」がツールとして活用され、居住者による主体的子育てコミュニティが形成されていた。動線を兼ねたコミュニティの場となる、ゆとりある中庭空間の確保は、2.3件目の賃貸住宅経営を手掛ける、子育てコミュニティ形成に意義を感じるオーナーによって可能となっている。また戸建て集住については、不動産会社エンジョイワークスが計画した「エンジョイビレッジ」について調査した。連続した敷地の庭を共有する宅地開発プロジェクトで、塀を作らず緑豊かな環境を共有することで、ゆるやかに人と人とをつなぎ居住者間のコミュニティを形成していた。SNSも活用し、住宅づくりは暮らす環境作りであると発信し、共感する人が集まっていた。これからの戸建て集住の作り方の一つとなり得るだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、初年度である2023年度に北米の先進事例訪問調査を実施する予定であったが、円安の影響により旅費の予算が合わないことから、しばらく動向をみていた。現在、北米の調査先との調整を行っている。2023年度は、2024年度に行う予定にしていた、日本の先進事例調査を先行して実施した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる本年度は、まず日本の先進事例の調査結果を分析し、住宅メーカーとともに新しい日本人共生意識に基づく共生型住宅の形を模索する。合わせて、日本人の共生意識調査を実施する予定である。また、今年度に引き続き、北欧の調査の現地のサポーターの確保を模索しつつ、円安の動向を伺いながら、調査実施の時期を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
北欧事例の訪問調査実施を延期したため、予定より少ない使用金額となった。円安の動向および訪問先との日程調整を行い、事例訪問調査を実施する予定である。
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