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2023 年度 実施状況報告書

循環型社会に向けた微生物産生セルロースの生活素材化

研究課題

研究課題/領域番号 23K01997
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

澤渡 千枝  武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70196319)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード微生物セルロース / 柔軟性 / 生活素材 / 衣生活 / SDGs
研究実績の概要

本研究は,SDGsに掲げられた17目標のうち,「No. 14 海の豊かさを守ろう」や,「No. 15 陸の豊かさを守ろう」および「No. 12 つくる責任 つかう責任」関して,生活者の立場からの素材研究によりQOL (Quality of Life) およびQOE (Quality of Environment) の向上に寄与するため,非木材のバイオマス資源である微生物セルロース素材(BC)に改良を加えて,しなやかさや肌触りの良さを備えた新規生活素材の創出を目指している.自然循環できない合成繊維やプラスチックを,本研究によって創出される素材で代替していくことで,海洋汚染対策などの地球環境への負荷軽減,衣類をはじめとする生活素材の肌への負担軽減など,快適で安全な衣生活・生活環境に寄与することが目的である.
方法として純粋な酢酸菌,または酵素との混合物からBCを生合成し,培養条件の検討のほか,軽度な化学修飾,オイル等の低分子との複合化や他の高分子物質との複合化,乾燥条件の制御によって目的の性能付与を検討するものであり2023 年度は3年計画の初年度である.試料の微生物(いわゆる酢酸菌)は,Glugonoacetobacter hansenii; ATCC53582:NQ5を標準資料として使用し,一方で,低コストで容易に入手可能なKombcha 菌(Acetobacter Xylinumと酵素の複合物)を用いて,4種の茶飲料,3種の糖を組み合わせた培地でBCの生産性を比較し,緑茶と氷砂糖の混合培地で,最も高いBCの生産量が得られた.さらに得られたBCペリクルに含まれている水分を食用オイルに置換してから乾燥させることで,BCシートに柔軟性を与えることができたが,これについてはさらに検討中である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初に予定した,国際学会( International Cellulose Conference )での学会発表については計画通りの成果を2件発表したほか,若手発表会(高分子研究発表会および日本家政学会関西支部研究発表会)においても,研究報告をおこなった.いずれも,発表者は指導院生が行い,日本家政学会関西支部研究発表会での口頭発表は若手最優秀賞を授与されたことから,研究内容だけでなく,研究者育成に関しても寄与できたと自認している.
一方で,学術雑誌への論文投稿が遅れており,この点は2024年度に見送ることになった.

今後の研究の推進方策

低コスト化の面では,Kombcha 菌の利用もメリットではあるが,培養条件と乾燥条件による構造制御の効果や,それによってもたらされる物性変化の評価にあたっては,当初の計画通り,ATCC53582:NQ5を標準試料として継続使用する.2年目は,初年度で得られた物性改良の効果をより好ましいものにするため,培養条件の検討によって得られたBCペリクルの構造と基本物性を確認した後,得られるBCを基材として,まずは柔軟性を持つシート状素材の調製をさらに検討する.同時に 加工・乾燥過程におけるBCフィブリルの凝集状態の制御性を検討し,得られた創成物の構造と物性との関係を計測/解析する.

次年度使用額が生じた理由

備品および消耗品は予定通りに執行したが,消耗品の価格高騰が激しい状況であったため赤字を懸念して支出を抑え,旅費を経常経費から支出したこと,および論文投稿を先延ばしにしたため,未執行額が生じた.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] クテリア生合成セルロースシートの乾燥条件による物性の変化2023

    • 著者名/発表者名
      老家初果,澤渡千枝
    • 学会等名
      高分子学会,第69回高分子研究発表会(神戸) Pa-19
  • [学会発表] Effect of tea and sugar on physical properties of kombucha biosynthesized cellulose2023

    • 著者名/発表者名
      Uika Oie, Chie Sawatari
    • 学会等名
      International Cellulose Conference 2022+1 (ICC2022+1)PA10
    • 国際学会
  • [学会発表] Investigation of elasticity of BC/PVA freeze-dried composites and improvement of elasticity2023

    • 著者名/発表者名
      Rie Hioki, Chie Sawatari
    • 学会等名
      International Cellulose Conference 2022+1 (ICC2022+1) PA34
    • 国際学会
  • [学会発表] 着るナタデココ 3種の食用オイルによるバクテリアセルロースのレザーライク化2023

    • 著者名/発表者名
      老家初果,澤渡千枝
    • 学会等名
      2023年度第45回(通算101回)(一社)日本家政学会関西支部 研究発表会予稿集p.14,C-03

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公開日: 2024-12-25  

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