研究課題/領域番号 |
23K02003
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研究機関 | 福岡県工業技術センター |
研究代表者 |
堂ノ脇 靖已 福岡県工業技術センター, その他部局等, 課長 (80416528)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 繊維加工 / 液中プラズマ / インジゴ / インジカン |
研究実績の概要 |
染色加工において高付加価値付与と持続可能性は重要な課題であり、藍染は両者を満足できる。しかし、藍染は長時間必要で、かつ藍色のみにしか染まらない。本研究では藍葉に含まれるインジカンと酵素を用いて、穏和かつ迅速に低環境負荷な藍染の発色制御を行い、多色化することを目的としている。具体的には保有技術の「トリプトファン発色」でインジゴと異なる発色体Xを生成させ、液中プラズマを用いて芳香族アルデヒド誘導体とインドキシルの反応を優位に進行させ、収率を制御する。本研究では3つのサブテーマを計画し、令和5年度は主に1.について実施した。 「1.インジゴ以外の発色体Xの生成」 生地8種類、及びインジカン試薬を出発原料として発色性を検討した。芳香族アルデヒド誘導体は8種類を用いて発色性を検討した。 生地の発色は、マイクロ波により酵素を失活させた藍葉を抽出して、生地と冷凍保存した藍葉少量を加えて、室温中、3時間ロータリー攪拌した。この結果、ナイロン、アセテート、毛、レーヨン、絹に発色が見られ、インジゴ色が優位であった。しかし、生地の種類で発色性は異なり、例えば、o-バニリンのナイロンで緑-黄系、芳香族アルデヒド誘導体なしの0.1%酢酸添加で赤系に変化した。 インジカン試薬の発色では、上記の芳香族アルデヒド誘導体と酵素としてβ-グルコシダーゼを用いて、発色体Xを生成した。紫外可視分光スペクトルを測定したところ、全体的にインジゴ色を示す600nm付近のピークが優位であった。しかし、o-バニリンが最も変化が大きく、600nmが75%減少し、475nmが95%以上向上した。そこで、インジカン、β-グルコシダーゼ、o-バニリンの原料、発色体X、インジゴをHPLCにて測定した。この結果、この発色体Xは原料やインジゴとは異なるリテンションタイムで、全く新しい化合物であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つのサブテーマ設定を行い、令和5年度は上記したように「1.インジゴ以外の発色体Xの生成」にて発色体Xが生成できること、インジゴ以外の化合物であることを確認した。「2.インジゴと発色体Xの収率制御」では、周波数、パルス幅、出力電圧を変化できる液中パルスプラズマ発生用電源の調査・選定・予備試験を行って機器の導入を行った。今後、o-バニリン以外の化合物を処理し、サブテーマ1.と連携して収率変化や色彩変化を調査する。「3.新規染色法による堅ろう度調査」については計画通り、実施なし。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに使用できた。物品購入時に見積合わせを行うなど調査した上で購入した。このため値引きが発生し、3万円の予算残が発生できた。
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