研究課題/領域番号 |
23K02057
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 直子 京都大学, 教育学研究科, 教授 (20334253)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 全体性の形而上学 / 文脈的全体性 / アメリカ哲学 / アンコモンスクールの教育 / 国際哲学対話 |
研究実績の概要 |
コロナ禍で加速される孤独・孤立問題や行き場のない喪失感、人種差別や排斥といった社会的分断の根底にある屈辱の感情等を背景に、個の分離・ 分断・ 疎外を受諾しつついかにして全体性を回復するかは、多元的共生社会を創出するための教育的課題である。本研究はその根底にある〈人を全体的にとらえるとはどういうことか〉という哲学的問いの解明に向け、アメリカ哲学と後期ウィトゲンシュタイン、カベルの日常言語哲学の交差を通じて、現行の教育を覆う全体性の形而上学的ドグマを解き、日常実践の中の個別性・多様性・分離性を引き受ける可変的な「文脈的全体性」への思考様式の転換を図る。欧米との哲学対話を通じ、アメリカ哲学が、包摂を志向するコモンスクールの発想を超えて、個を緩やかにつなぎ、異なる者への美的想像力を育む「アンコモンスクールの教育」(H. D. ソロー)の実現に果たす実践的意義を解明する。 今年度は、デューイの包括的な成長概念についての国際共著への論文投稿を行い、また国際共編著の出版が決まった。また査読付き国際ジャーナルに、「アンコモンスクールの教育」についての英語論文2本が掲載された。また「全体として人をとらえるとはどういうことか」に関わる英語論文が国際学術誌Journal of Philosophy of Education に審査受理され、2024年に出版予定となった。国際会議では、アメリカ(審査受理論文、対面発表)において、研究課題に関わる発表を行った。また日本哲学会(パネル発表)および哲学会(招待講演)では「生き方としての哲学」についての発表を行った。 これらの出版活動と国際対話を通じ教育と哲学の国際ネットワークの拡充が行われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
オンラインのみならず対面でも国際学会で発表すると同時に、査読付き国際学術論文2本(内1本は招待論文)の出版、および国際共著への出版決定1本が叶った。さらに国内でも、哲学会において招待講演を行ない、国外ではアメリカ哲学促進学会で審査受理論文を発表した。よって予想以上の成果をあげることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
1. 海外共同研究者との英語共著の出版を行う。 2. 来年度は、アメリカ教育哲学会、イギリス教育哲学会、アメリカ哲学促進学会に成果発表の論文を投稿すると同時に、すでに審査受理されている国際教育哲学者ネットーワクおよび世界哲学会議にて発表を行う予定である。 3. 本研究のテーマを発展させて、英語での単著出版企画につなげていく。
|