研究課題/領域番号 |
23K02068
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
関 直規 東洋大学, 文学部, 教授 (50405106)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イギリス成人教育史 / East End / London County Council |
研究実績の概要 |
本研究は、イギリスを代表する地方教育行政機関だったロンドン・カウンティ・カウンシル(London County Council、以下、LCCと略称する)の中心的な成人教育の機会であるイブニング・インスティテュート(evening institute)の現場で、都市民衆が体験した学習・文化・スポーツ活動の実態、特質と歴史的意義を明らかにすることを目的としている。 この研究が検討する中心時期は、都市民衆の学びが多面的に展開した戦間期である。また、関連する資料のほとんどは、日本では入手困難であるため、主要な研究方法は、イギリス現地のアーカイブズ等が所蔵する一次資料の発掘・分析とする。初年度は、大英図書館(The British Library)、イギリス国立公文書館(The National Archives)やロンドン・メトロポリタン・アーカイブズ(London Metropolitan Archives)を訪問し、一次資料の調査・収集活動を実施した。 また、これと並行し、戦間期のLCCと東京市に焦点を当てつつ、日英大都市の比較社会教育史に関する先行研究と方法論を再検討する基盤的研究を進めた。なお、ロンドン市タワー・ハムレッツ区(London Borough of Tower Hamlets、以下、LBTHと略称する)の協力を得て、国際的評価の高い同区のコミュニティ学習センターの視察と分析を行うことで、日本の公民館再生への戦略的アプローチに関する示唆を得た。同区に集住する国際的移民等の学習を支援する先進事例の現実把握は、歴史研究に必要な現代的課題意識の深化に資するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリス現地の大英図書館やイギリス国立公文書館では、LCC成人教育史や都市民衆の学習・文化・スポーツ活動史に関する一次資料を閲覧し、デジタル・カメラで撮影・記録した。また、ロンドン・メトロポリタン・アーカイブズにおいては、最新の家族史のデジタル・リソースを利用し、LCCの中心的な学習支援者の人物像を解明した。そして、比較社会教育史の研究方法論の再検討や、LBTHの生涯学習サービスの担当者との対話によって、新たな研究課題に取り組むための基礎を築いた。以上の諸成果を得たことで、おおむね順調に進展している、と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果をふまえ、イギリス現地における一次資料の調査・収集を継続しつつ、それらを整理・分析し、学術的成果にまとめる。イギリスのアーカイブズの統合検索システムを活用し、信頼性ある情報を得ているが、一次資料の収集が、当初の計画通りに進まない場合は、アーキビストの専門的助言を求めたい。
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