研究課題/領域番号 |
23K02098
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
山中 翔 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (50847332)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ポピュリズム / シティズンシップ教育 / リベラル・デモクラシー |
研究実績の概要 |
2023年度の研究課題は「教育学におけるポピュリズム理解を整理する」ことだった。以下、この課題の進捗状況を述べる。 一般的にポピュリズムはデモクラシーに対する脅威として捉えられることが多い。このような理解は、教育学においても共有されている。しかしながら、近年の政治学ではポピュリズムの民主主義的側面を指摘する議論も散見されている。このことを踏まえるならば、教育学とポピュリズムの関係を再考する必要があるのではないだろうか。 このような問題関心のもと、ポピュリズムに抗する教育に関する批判的考察をおこなった。手順は次の通りである。(1)リベラル・デモクラシーとの関係に着目し、ポピュリズム論を整理する。(2)ポピュリズムに抗する教育はポピュリズムをどのように捉え、克服しようとしているのかを整理する。(3)(1)・(2)をもとに、ポピュリズムに抗する教育の現状と課題について検討した。 研究の結果は次の3つである。(1)ポピュリズムをデモクラシーに対する脅威としてのみ捉えるのは一面的である。(2)教育においてポピュリズムを受け入れるかどうかは、それがどのような民主的な帰結をもたらすかどうかに左右される。(3)ポピュリズムには毅然とした態度で臨むのではなく、対話の可能性を模索する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究課題「教育学におけるポピュリズム理解を整理する」を概ね遂行することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究課題は「政治の入口へと導く教師の働きかけ」について探究することである。 これまでの研究において、ポピュリズムの民主主義的側面が明らかになった。すなわち、それは等閑視されていた人々の声を顕在化し、デモクラシーを正すことである。ポピュリズムは、情念を動員することで断片的な声を集合的意志へと形成する。 政治学ではデモクラシーへの参加を促す動員モデルの政治理論としてポピュリズムを捉える議論がある。 これらの議論をベースに、政治の入口へと導く教師の働きかけについて検討する。その際、ラクラウやムフの政治理論に影響を受けているクリティカル・ペダゴジーの理論も参照しつつ、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の文献整理に時間を要したため。次年使用額は①書籍購入、②円安の影響で高騰すると思われる旅費に充てる。
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