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2023 年度 実施状況報告書

マレーシアにおける難民の高等教育修学―コミュニティセンター運営者・教師の役割―

研究課題

研究課題/領域番号 23K02195
研究機関東洋大学

研究代表者

金子 聖子  東洋大学, 国際学部, 准教授 (50738903)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード都市難民の教育 / 学習センター / 高等教育 / ロールモデル / マレーシア
研究実績の概要

マレーシアは東南アジアで最大の18万人の難民を受け入れながら、難民が公教育を受けることは認められていない。難民にとって高等教育は、将来的に付加価値の高い仕事に就き、未来を切り開いていくために重要である。大学の中には難民のための受け入れ枠を設けているところもあり、初等・中等教育から高等教育への接続が課題である。以上のことから本研究の目的は、難民の子どもたちが学ぶ学習センターにおける教師と運営者の有する教育資格と高等教育修了を目指す戦略に着目し、彼ら・彼女らがロールモデルとして子どもの教育に果たす役割を明らかにすることである。
2023年度においては、UNHCRマレーシアのウェブサイトに掲載されている118全ての学習センターに質問票を送付し、50のセンターから回答が得られた(有効回答率 42.4%)。学習センターの一般情報の他に、教師の雇用形態(フルタイム、パートタイム、ボランティア)別の学歴を調査した。その結果、パートタイムとボランティア教師に比べ、フルタイム教師の高等教育修了率が非常に低いことが分かった。これはフルタイム教師は難民自身が担っていることが多いためであると推察される。
次に学習センター6か所でのインタビュー調査を実施した。その結果、金銭面、人材、カリキュラムの面でかなり脆弱な状況である一方、教師たちにとって貴重な収入創出の機会を提供していること、コミュニティへの愛着を感じる場であること、アイデンティティを再認識する場であることなどが明らかになった。
以上の結果についてERAS International Conference and WERA Focal Meeting 2023にて発表し、学習センターの運営方法や難民の子どもたちの取り得る教育経路、母語の継承などについて質問やコメントを得て活発な議論に繋がり、研究のブラッシュアップを図ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記「研究実績の概要」のとおり、教師と運営者のロールモデルとしての役割を明らかにするための第一段階として、全学習センターを対象とした質問紙調査を実施し、十分と考えられる回収率にて、教師の人数や学位などの基礎データを得ることができた。また類型や難民の背景の異なる6ヵ所の学習センター(国際型、コミュニティ基盤型、イスラム寄宿舎、個別指導型など)にて綿密なインタビュー調査を実施し、初年度としては十分な質的データを得ることができたと考えている。
国際学会での発表において専門的な見地からの有益なフィードバックを得ることができたため、概ね当初の想定どおりの進展を得られたと考えている。

今後の研究の推進方策

次年度は既存のデータ分析を進め、学会発表で得られた知見も参考にしながら、国内・国際学術誌への投稿を目指す。さらに現地調査を実施し、同一学習センターでの継続調査に加え、難民の生活の場(自宅や地元コミュニティ)での参与観察を実施する。

次年度使用額が生じた理由

質問票調査が完全にオンラインで十分な回答を得られたことにより、現地渡航を2回予定していたところが1回となったため。その分、次年度の追跡インタビューおよび参与観察にて使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] The role of teachers and staff members of learning centers in educating refugee children in Malaysia2023

    • 著者名/発表者名
      Seiko Fujimoto-Kaneko
    • 学会等名
      ERAS International Conference and WERA Focal Meeting 2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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