研究課題/領域番号 |
23K02222
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
岡本 智周 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60318863)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 学校教育経験 / 学校知識 / 社会認識 / 歴史認識 / 社会意識調査 / 共生社会 / 世代 / 初期社会科 |
研究実績の概要 |
本研究は、社会意識調査を通して、2020年代の日本社会に生きる人々の社会や歴史に関する認識がどのように構成されているのかを把握し、そこに学校教育その他の場での社会についての学びの経験がいかに関わるかを探索するものである。学校教育は新たな社会成員に価値と規範の共有を促す社会化の装置であるが、現実的には教育政策が変動することにより、知識や経験の差異を人々の間にもたらす場ともなってきた。現代日本の社会認識・歴史認識の様態とその背景をみることによって、教育経験を通して伝達される社会統合の論理の社会的帰結を析出することが、本研究の目的である。 2023年度は大きく2つの課題を設定して研究活動を進めた。第1に、戦後日本における社会科教育の内容の変遷に関する調査研究を進め、これまでの研究で把握してきた1950年代以来の中等教育用社会科教科書の内容の特徴と併せて、学習内容の世代差を示す指標を作成した。とくに初期社会科の性格の変化について、『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第69輯と『社会学年誌』第65号に提出した2本の論文で論じた。 第2に、2023年2月に行った社会意識調査のデータを分析し、学校教育経験と「共生」をめぐる社会認識との関連を構造的に明らかにする作業を行った。分析知見は2024年2月に論稿集『共生と教育の社会意識――2023年調査報告』(早稲田大学共生教育社会学研究室)として発行し、国立国会図書館、東京都立中央図書館および早稲田大学図書館等に納本した。また、研究論文「「共生社会」の社会的認知の様態と背景、およびその経年変化」を『共生学研究』第1号に提出した。とくに、「共生」についての認識が探究型の学びや経験によって促進される傾向を析出した点が、初期社会科の実践の意義を理解するうえで有意義となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は学びの経験と社会認識との関連を分析し、知見を総括することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の主要な課題である社会意識調査の立案・実施・分析は順調に進められているので、次回調査の課題の整理を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は、前回調査のデータを用いて学びの経験と社会認識との関連を分析することに専念した。次年度使用額は、次回調査の実施のために使用される。
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備考 |
2023/08/07,「「戦後」――じつは不変でも普遍でもない時代」(リレー連載「他人と生きるための社会学キーワード」第3期④)太郎次郎社エディタスWebマガジン [Edit-us]. 2023/06/12,「「社会とは何か」を問いながら 格差や分断の問題を多角的に追及/専門演習紹介」『早稲田大学 2024年度版入学案内』早稲田大学入学センターウェブサイト.
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