研究課題
新生児医療の進歩に伴い,出生直後から新生児集中治療室で治療を受けるハイリスク児は増加している.ハイリスク児の支援においては児の発達促進,養育者への支援を出生直後から継続して実践することが重要である.本研究では,ハイリスク出生コホートを活用し,ハイリスク児と児をとりまく養育者を対象として,出生直後のNICU入院時から退院後のフォローアップへと持続可能な子育ち子育て支援プログラムの開発と評価を目的とする.2023年度は2013年の出生コホート開設から2022年までの10年間のNICU入院中データおよびフォローアップ外来で蓄積してきた既存の量的・質的データの再分析を行った.量的解析では周産期リスク(出生体重,在胎週数,疾患の有無,NICU入院日数),修正4ヵ月~満3歳までの子どもの発達指数,育児環境,養育者の育児不安などのデータ約100件を分析対象とした.具体的には発達の軌跡を目的変数とし,軌跡に影響する要因を多変量解析を用いて検証した.その結果出生時のリスクに加えて育児中の養育者の不安が子どもの発達と関連することが検証された.質的解析では養育者へのインタビューの逐語録約100件を分析対象とした.インタビューの逐語記録,観察記録などの生の声・様子から,重要アイテムの抽出,重要カテゴリーを抽出した.さらに,逐語録をテキストマイニングの手法を用いて検証し,頻出語や共起ネットワークを作成し,発言内容を客観的に検証した.その結果育児における養育者の不安感には変動があり,子どもの疾患や障害の有無のみならず周囲のサポートとの関連が示された.
2: おおむね順調に進展している
Phase1(創造:既存データからプログラム開発の根拠を創造する)に沿って順調に進んでいる.
Phase2として,適応:ハイリスク出生コホートを活用した子育ち子育てプログラムを作成・実施する.さらにPhase3として,維持・発展:実施したプログラムを検証し,維持・発展させる.
次年度使用額が生じた理由は,予定よりも消耗品の購入や謝金の発生が少なかったためである.未使用額について,根拠に基づいたプログラム作成・実施のための費用として使用予定である.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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