研究課題/領域番号 |
23K02317
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
安藤 朗子 日本女子大学, 家政学部, 准教授 (50780433)
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研究分担者 |
平田 倫生 日本女子大学, 家政学部, 教授 (60769636)
祓川 摩有 聖徳大学, 教育学部, 准教授 (70710200)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 極低出生体重児(VLBW児) / 保育所生活 / 発育・発達 / 個別的な対応 / 他機関との連携 |
研究実績の概要 |
本研究は、保育所に入所している極低出生体重児(Very Low Birth Weight:VLBW児)の保育所生活の実態を明らかにし、VLBW児の支援モデルの構築を目指すものである。 2023年度は、1)質問紙調査項目の検討と作成、2)質問紙調査対象保育所のサンプリング、3)質問紙調査の実施を行った。 1)質問紙調査項目の検討と作成:保育所生活状況を多角的に把握することを目指して、発達臨床心理学、小児医学、小児栄養学の立場から項目を検討した。主な項目は、①対象児の属性、②入所時の発育・発達状況、③調査時点の発育・発達状況、④個別的な対応と必要性、⑤食事に関する項目、⑥他機関との連携、⑦小さく生まれた子どもの保育の困難な点などである。自記式質問紙である。 2)対象保育所のサンプリング:子ども・子育て支援情報公表システムWAM NET(独立行政法人 福祉医療機構「ここdeサーチ」2020)を基に、全国47都道府県庁所在地(東京都特別区を含む)、及び他の政令指定都市、中核市の保育所(含む認定こども園)を公・私立各10か所、合計2,500保育所を抽出した。なお、抽出の際には、0~5歳児が入所しており、収容人数の多い順に選定した。 3)調査の実施:2023年11月中旬~2024年1月15日に質問紙を送付し、VLBW児が入所している場合に、担当保育士が回答し、返信封筒にて返送してもらう方法で回収した。しかし、VLBW児はいないという返信が多かったため、東京都特別区に対し再度調査依頼を行った(2024年1月下旬~3月初旬)。その際、VLBW児の有無についての質問を追加し、入所していない場合も返信を依頼した。現在回収された回答のデータ入力及び点検作業をしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の2023年度の研究計画は、1)質問紙調査項目の検討と作成、2)質問紙調査対象保育所のサンプリング、3)質問紙調査の実施であったが、現在までのところその計画通りに進められた。 ただし、調査の回収状況から、VLBW児の入所する保育所が想定外に少ない印象であったため、東京都の特別区に対し再調査依頼を行った。今後実施予定のインタビュー調査をより充実させたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、主に次の2点を実施する予定である。 1)質問紙調査結果の分析・考察:VLBW児の保育所生活の現状の分析を行うとともに、2001年に実施した同様の保育所調査の結果との比較分析を行う。分析は、SPSS分析ソフト等を利用して統計処理を行うとともに、自由記述については、カテゴリー分析などによる質的分析を行う。 2)インタビュー調査の実施と分析・考察:調査対象の保育所の中で、協力可能な保育所へのインタビュー調査を実施し、インタビュー調査結果の分析を行う。インタビュー内容は、質問紙調査結果を踏まえ、さらに必要とされる情報の精査を行った上で、インタビューガイドを作成し実施する。インタビュー調査を行う際には、保育所での生活状況を観察するなど、保育環境(人的、物的)等を含めた現状の把握に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の発送費用(1通当たりの郵便料金)と回収費(郵便料金)、回収後の回答データ入力費用が予定より少額であったことが主な理由である。 VLBW児の入所数の多いことが予想される地域(総合周産期母子医療センター所在地域など)を考慮したネイマン抽出法を利用して、全国2500か所の保育所を選定したが、当初の予定よりも回収率が低く、VLBW児の入所する保育所の選定の難しさを痛感する結果となった。 今後、インタビュー調査を可能な限り数を増やして実施したいと考えており、その費用を充実したいと考えている。
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