研究課題/領域番号 |
23K02345
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
今 由佳里 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 准教授 (40440838)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | スイス / アニマシオン / ICT教育 / 絵本 / 雅楽 |
研究実績の概要 |
「活動」を通じて認知構造が「構成」されてゆくピアジェ(Jean Piaget,1896-1980)の構成主義理論に着目した音楽鑑賞教育について、研究初年の令和5年度は音楽が流れる絵本を作成して検討を行った。これは研究代表者が、スイスの公立図書館において実際に目にしたアニマシオンにヒントを得たものである。スイスで行われていたこの手法から、音楽の学びの側面を抽出し、子どもたち自身が手軽に何度でも音楽を聴きながら読み進めることができる「雅楽」の音楽絵本を試作、その効果について検討した。なお、本研究で作成したこの絵本では、2次元コードを読み取って音楽を聴いたり、鞨鼓・鉦鼓・太鼓といった雅楽の打物を体験演奏できるように工夫している。 本研究の成果は、2023年8月9日から11日、大韓民国Seoul National University of Educationにて開催された国際会議2023 APSMER Seoulに参加し、Study on the Effective Use of Picture Books That Make Sound in Music Learningのタイトルで発表を行った。日本の伝統音楽である「雅楽」の音・音楽が聴ける絵本を題材にした音楽の学びに関して発表したが、韓国・中国・台湾・タイなどの研究者から多くの質問と関心を寄せられる機会となった。なお、ここでは日本のICT教育、GIGAスクール構想についても情報提供を求められ、他国との比較から新しい視点も得られた。能動的な鑑賞学習の状況に関して、日本だけではなく他国の現状についても知ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年にあたる令和5年度は、能動的な鑑賞学習のアプローチ方法のひとつとして音楽が流れる絵本に着目し、『見て・聴いて・学べる雅楽の絵本 ー管絃ー』を試作、その特徴や効果について国内のみならず海外の研究者とも検討する機会を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、ジュネーヴ州の公立小学校で行われている構成主義理論に則った音楽鑑賞教育についてさらに資料の収集を行い、最新の情報を得る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたスイスにおける資料収集が、今年度は公務の関係で日程が調整できず、次年度に持ち越すこととなった。そのために生じた次年度使用額は、令和6年度以後の海外調査費に組み込む予定である。
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