研究課題/領域番号 |
23K02348
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
渡辺 哲男 立教大学, 文学部, 教授 (40440086)
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研究分担者 |
山名 淳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (80240050)
勢力 尚雅 日本大学, 理工学部, 教授 (80459859)
柴山 英樹 日本大学, 理工学部, 教授 (60439007)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 詩のティンカリング / 中動態 / 「造形遊び」 / 想起物語 |
研究実績の概要 |
2023年度は、おおむね以下のような活動を行った。1)昨年度、本科研の採択前に研究メンバーで行った学会ラウンドテーブル報告の一部原稿化を行った。具体的には分担者の山名がカタストロフィの想起物語と国語教育に関する内容を発表した。2)本研究メンバーが以前より重要な概念として注目していた概念「中動態」に関わる新著が刊行されたことを受け、科研メンバーを含む報告者による合評会を行った。『芸術と共在の中動態』(萌書房)を刊行された森田亜紀氏ご本人をお招きし、科研メンバーより柴山、さらに関連するテーマを研究する若手研究者2名を招き、合評会を行った。芸術活動を行う上で「共在」する他者とはいかような存在たるものなのか、「言葉のティンカリング」を検討する上でも重要な視角から検討することができた。3)プラグマティズムの教育哲学、美術教育学研究者との交流を深め、とくに図画工作科教育における「造形遊び」と、本科研における中心テーマである「言葉のティンカリング」との比較考察を行い、その協働の成果の一部を発表した。具体的には、古屋恵太氏、清家颯氏(ともに東京学芸大学)と科研メンバーで研究会を行い、教育思想史学会大会において、古屋氏、清家氏が報告者、渡辺が司会のラウンドテーブルを企画した。4)国語科教育における「詩のティンカリング」に関して、その研究の第一人者をお招きして講演を行っていただき、ディスカッションを行うことで、「言葉のティンカリング」を学校現場に導入することの可能性と課題を共有した。中井悠加氏(島根県立大学)による詩のティンカリングの理論と実践に関する報告は、本研究の遂行において極めて示唆的な内容で、「詩」とは何かという根本的な問題、さらには「詩のティンカリング」を実践する授業者がいかなる学習者の成長を期待しているのか等、重要な検討を行うことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本科研は国語科教育(教科教育学)領域への学術的貢献を企図した共同研究であるが、2023年度は、美学芸術学、教育哲学、美術教育学など、多様な領域の研究者との交流を行うことができ、この共同研究を進める上での課題を抽出することが出来たためである。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の研究活動によって抽出された点は以下の通りである。1)「言葉のティンカリング」によって、学習者が思考を深める対話が可能になるという仮説に変更はないが、こうした学習活動を経験した児童生徒が、どのように社会参加する「主体」となっていくのか、「ティンカリング」によって学習者のいかような変容が期待されるのか、現時点では、一授業が楽しくあるための一可能性という段階であるが、いま少しマクロな視野からこの実践を検討したいと考えている。2)現時点では、個人でティンカリングを行い思考を深める、というレベルに留まっていて、他者との「言葉のティンカリング」による協働がいかように成立しうるかという点が考察し切れていない。研究者自身のフィールドから、あるいは、文学作品、映像作品などでかような協働が行われている場面などをてがかりにして、さらなる検討を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に招聘した研究会で講演をお願いした講師の交通費について、地方からの招聘だったこともあり、一定の金額を確保しておく必要があったが、実際に執行した額が予想より少なく済んだため、次年度使用額が生じた。また、もう一人年度内に講師を招聘する予定であったが、予定が織り合わず実現できなかったため、この講師の謝金や交通費として確保しておいたものが次年度使用額となった。2024年度は、講演講師への謝金、交通費としておもに使用する予定である。
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