研究課題/領域番号 |
23K02376
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
祐岡 武志 阪南大学, 経済学部, 教授 (00802539)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歴史教育 / 市民性教育 / 世界史探究 / ビッグヒストリー / ESD / 世界遺産 |
研究実績の概要 |
2023年度の前半は、主に研究計画の第1段階となる探究的歴史教育に関わる事例収集を目的とした学会参加や出張を行った。7月に名古屋学院大学で開催された日本国際理解教育学会第32回研究大会に参加。8月は、奈良県立国際中学校・高等学校を訪問し、中学校1年生の個人と社会(歴史分野)を参観した。 9月には、研究代表者が2022年度の国外研究で滞在したオランダに赴き、ビッグヒストリー教育を推進するアムステルダム大学の教員エスターの授業を参観するとともに、ビッグヒストリー研究の進捗状況を報告して助言を求めた。また、現地の高等学校(A. Roland Holst College in Hilversum)を再訪し、年度当初のビッグヒストリーの授業を見学して研究継続への協力を確認した。 10月は、世界遺産「法隆寺地域の仏教建造物」を調査。11月は、岡山大学で開催された第72回全国社会科教育学会全国研究大会に参加。同じく11月、奈良教育大学附属中学校で開催された第12回共創型対話学習研究所研修会に参加。2024年3月には沖縄本島へ世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」と「沖縄本島北部」に加えて沖縄本島南部戦跡の踏査、及び琉球文化の調査を目的とした出張を実施した。 2023年度の終盤は研究計画の第2段階から第4段階につながる成果報告等に従事した。2024年1月に論文「市民的資質の育成を目指す探究的歴史教育研究に関する一考察―オランダのビッグヒストリー教育に着目して―」を執筆、日本学校教育学会年報に投稿した。2月には、日本学校教育学会により企画された海外スタディツアーに参加し、マレーシア科学大学の学術交流においてオランダでの研究成果を発表し、世界遺産ジョージタウン訪問を見学した。3月には、日本学校教育学会第2回オープン実践研究会で、マレーシアでの活動を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助事業期間中の研究実施計画としては、「第1段階:これまでの探究的歴史教育に関わる国内外の事例収集」、「第2段階:収集した探究的歴史教育の事例分析」、「第3段階:地理歴史科の世界史探究を想定した教育内容開発」、「第4段階:研究成果の学会等での報告・発表及び論文等としての公表」の4段階で構成している。 2023年度は、主に第1段階の資料収集を行うととともに、オランダでのビッグヒストリー教育の調査に基づく研究成果を論文「市民的資質の育成を目指す探究的歴史教育研究に関する一考察―オランダのビッグヒストリー教育に着目して―」を執筆するにあたり、第2段階を進め、第3段階への足掛かりとした。また、上記研究実績で報告した通り、学会関連のスタディツアーや研究会で報告・発表を行い、論文として投稿したことで第4段階にも到達しているためである。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画の第1段階は学会参加や出張等で継続して進めるが、国外ではオランダ以外の事例であるイタリアやスペインのビッグヒストリー研究を中心に扱う。研究が国外中心となっているのは、国内でのビッグヒストリーにかかる事例が少ないことであるが、探究的歴史教育の事例としても事例収集に努める。 第2段階については、イタリアやスペインと国内の探究的歴史教育に着目して事例分析を行い、第3段階で開発予定の教育内容の具体化につなげることを目指す。 第4段階については、引き続き研究成果を随時報告・発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に沖縄への出張を実施したことにより、現地での交通費等が年度の使用限度額を超過しないよう、他の物品購入等を控えたため残額が発生した。この次年度使用分となる残額は、購入を控えた書籍等に充当する計画である。
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