研究課題/領域番号 |
23K02445
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研究機関 | 北陸学院大学 |
研究代表者 |
川真田 早苗 北陸学院大学, 教育学部(初等中等教育学科), 教授 (20880363)
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研究分担者 |
藤岡 達也 滋賀大学, 教育学系, 教授 (10311466)
村田 守 株式会社蒜山地質年代学研究所(地質技術センター), 地質技術センター, 研究員 (80239532)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 土石流 / 小学校 / 水害防災教育プログラム / 雨水の行方と地面の様子 / 土石流実験教材 |
研究実績の概要 |
土石流は,誘因である降雨特性と素因である地形勾配等に影響を受け発生する高密度混濁流であり,表土・砂・岩塊や流木などを多く含んだものが水と一体となって流下(集合運搬)し,大きな岩塊などが先頭部に集中し直進しやすい。また,流動に伴い渓床や渓岸の堆積土砂を深く削剥し体積を増大させるため,その浸食力は極めて強い。近年は,山地・丘陵地が住宅地化・市街地化へと開発されていることから,土石流に対する理解を図ることやその対策は重要な課題となっている。 このような現状から,土石流災害に対する対策の強化が必要とされ,学校教育現場における土石流防災教育への期待は高まっている。 しかしながら,児童・生徒の土石流に対する認知度は低い。これは,小学校・中学校の理科の教科書では土石流について用語の説明に留まっていることや,理科や防災教育で,土石流を含む土砂災害の取り扱いが乏しいことが原因である。 2023年度は,土石流危険渓流がある地域の小学校4年生を対象に,雨水の行方と地面の様子の単元において,研究協力者と共に開発した土石流実験教材を活用し,土石流を取り扱った授業を実践した。土石流実験教材は,理科室の机上に設置できるサイズであること,児童が操作しやすいように軽量であること,素因である渓床勾配に着目し土石の流下が観察できるように水は使わないことを考慮し開発した。授業終末の学習の振り返りシートの記述から,児童は,急勾配の渓床による土石流の流下がイメージできるようになるとともに,土石流は,急勾配の渓床では流下し,渓流出口の勾配が緩くなった地点で広がり堆積することを理解できるようになった。また,土石流が広がり堆積する場に家などがあると甚大な被害になることも理解できるようになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究計画は,地域で発生する土石流に対応した小学校における水害防災教育プログラムを開発し実践することであった。 予定していた石川県及び徳島県の小学校の土石流を取り扱った水害防災教育プログラムを開発し実践することができた。本水害防災教育プログラムは,第4学年「雨水の行方と地面のようす」の発展として位置づけ実践した。 授業実践に際し,共通教材として土石流実験教材を開発した。これは,理科室の机上に設置できるサイズであること,児童が操作しやすいように軽量であること,素因である渓床勾配に着目し土石の流下が観察できるように水は使わないことを考慮し開発した。また,各地域での土石流災害等を取り扱ったワークシートも作成した。石川県の小学校では,昭和 9年7月に起きた手取川大洪水を例として、徳島県の小学校では2023年6月に発生した豪雨による土砂災害の事例をもとに学習資料を作成した。 授業を受けた石川県1校及び徳島県2校の児童は,授業終末の学習の振り返りシートの記述から,児童は,急勾配の渓床による土石流の流下がイメージできるようになるとともに,土石流は,急勾配の渓床では流下し,渓流出口の勾配が緩くなった地点で広がり堆積することを理解できるようになった。また,土石流が広がり堆積する場に家などがあると甚大な被害になることも理解できるようになった。 上記の本研究内容については,日本環境教育学会全国大会,日本理科教育学会全国大会,日本理科教育学会近畿支部大会にて発表し,大学紀要に投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い,2024年度は石川県、徳島県で実践した地域で発生する土石流に対応した小学校における水害防災教育プログラム(教育内容・教育方法・教材・土石流実験教材)の評価・改良を行う。改良した地域で発生する土石流に対応した小学校における水害防災教育プログラムを2025年に石川県、徳島県で実践する。実践を通して得た成果と課題を学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の物品購入に当てるため。
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