研究課題/領域番号 |
23K02449
|
研究機関 | 清和大学 |
研究代表者 |
田中 將之 清和大学, 法学部, 教授 (30865720)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 教員養成 / ユーモア / コミュニケーション能力 |
研究実績の概要 |
令和5年度前期,報告者は教育学部初等教育学科(小学校教員養成課程)に在籍しており,学生に対する教育漫才指導を同大学の「探求ゼミⅠ」,「探究ゼミⅡ」の時間を活用して実施した。5月から7月にかけて行ったその内容は,1,2学年の学生へのオリエンテーション(越谷 市立新方小学校の田畑校長の実践を描いたNHK-Eテレビジョンの番組視聴,教育漫才とは何か),漫才技法の三段落ちに関する説明・演習,吉本興業所属のプロ芸人の指導による「漫才ワークショップ」の実施,ネタ作り,立ち稽古の演習,漫才発表大会の実施等であった。 演習の前後に,①藤本・大坊(2007)によるコミュニケーション・スキル尺度,宮古・上 野(1996)によるユーモア態度尺度(遊戯的ユーモア志向尺度項目)などについて,プレテスト,ポストテストを行っている。また,自由記述法による教育漫才実践の効果に関する対する回答を得た。それを基に,KJ法で分析を行い,効果測定のための尺度開発にも現在取り組んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教師を目指す学生の中には,「笑い」「ユーモア」について,低俗なもの,あるいは自分には関係のないものとの認知を有する者がいる。また教師は児童生徒に対し,全身を用いて授業者(指導者)を演じなければならないことを知りつつ,人前で話をすることを苦手とする学生もいる。多くの観衆の面前で教育漫才を発表することで,緊張する場面でも力を発揮できる,物怖じしないで話をすることができる,といった経験につながったことは学生の自由記述の回答からも明らかである。また,(言葉だけでなく)身ぶり,しぐさで表現をすることができる,状況に合わせて表情をつくることができる,話すときの間(ま)をとることができる,といった表現・コミュニケーション・スキルの向上にも影響を与えている他,互いの考えを伝え合う,相手の意見を取り入れて問題に取り組む,他者と意見が異なることを,両者が歩み寄れるような解決策を考えるといった他者との協力・強調にも効果があるという示唆が得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は,研究対象者数の確保を検討課題の一つとする。統計的分析のために,教育学部学生の100以上の有効回答者数を目標にしている。令和5年度(初年度)は,64のデータが得られた。現在,その分析も進めており,また対象の回答に基づき,新たな質問紙作成に着手している。研究は現在までは,おおむね順調に進捗していたといえる。 ところが研究に協力をしていただいている大学教育学部の入学者数の著しい減少が原因となり,本年度は最大で18しかデータが得られないことが既に明らかになっている。本研究は令和5年度より8年度の4年間に亘る研究期間が与えられていることから,当該大学には本年度(令和6年度)に加え,来年度(令和7年度)まで研究協力を継続していただくように交渉中である。なお,仮に協力が得られなかった場合でも,得られたデータ数のみでの分析は可能であり問題はない。しかしより良い研究にするために,対象者数の確保を検討課題とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,予定していた吉本興業から派遣されるプロ芸人の経費を安価に抑えることができたからである。また,報告者が教育学部に在籍中(年度前期)に演習とデータ収集を行い,当該大学への往復旅費がほとんどかからなかったことによる。 研究を進めていく中で,データ解析・発表等のための機器が必要となることが判明したため,そのために使用することを現在,計画している。
|