研究課題/領域番号 |
23K02481
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松浦 武人 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (70457274)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 確率概念 / 幼小接続 / 共通概念経路 / カリキュラム開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、幼小接続期における幼児・児童の不確定な事象の認知過程(共通概念経路)を明らかにするとともに、幼小接続期における確率概念形成のためのカリキュラム(形成したい確率概念の内容及び学習目標の系統)を開発することである。 研究の第1年次にあたる本年度は、諸外国の幼小接続期の算数(数学)科のカリキュラムを、統計的確率、数学的確率確率、また、確率を捉える基盤となる割合、比、分数を視点として考察するとともに、幼児・児童の不確定な事象に関する生活経験及び確率判断の実態を横断的に把握するための実態調査を、広島県下の幼稚園年長児・小学校第1学年児童を対象に実施した結果を、Vinner、S & Hershkowitz,Rによる共通概念経路の検定を用いて分析し、不確定な事象の認知過程を把握した。 諸外国のカリキュラム(カナダ、イギリス等)の考察から、小学校低学年において、確率P=0、0<P<1、P=1の判断を、さらには、0<P<1の中での事象の起こりやすさの比較の判断を、児童の生活の事象を具体的に取り上げながら思考・表現する活動の在り方についての示唆を得た。 共通概念経路の検定(玉引きのあたりやすさを判断する問題)においては、年長児においては、P=0の問題からP=1の問題へ、P=1/4の問題からP=1の問題及びP=1/2の問題への経路が検出された。小学校第1学年児童においては、P=0の問題からP=1の問題及びP=3/4の問題へ、P=3/4の問題からP=1/2の問題及びP=1/4の問題への経路が検出された。 これらの考察結果は、幼小接続期における確率概念形成のための学習材の具体的な構成・配列についての示唆を与えるものであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の年次計画において、2023年度(第1年次)の計画を「幼児・児童の不確定な事象における確率判断の実態を横断的に把握するための実態調査(横断的調査)を行うとともに、幼児・児童の不確定な事象の認知過程(確率の共通概念経路)を明らかにする」としており、計画に沿って、実態調査に基づく共通概念経路の検出を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究の年次計画に沿って、研究を推進する。 次年度(第2年次)は、幼児・児童の不確定な事象に関する生活経験及び確率判断の実態調査を継続するとともに、幼小接続期における確率概念形成を意図した学習材及び学習活動を考案する。
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