研究課題/領域番号 |
23K02533
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
富田 真紀 中央大学, 法学部, 特任教授 (20708044)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 初年次教育 / グローバル市民育成 / キャリア教育 / 教養教育 / 途上国での学習体験 |
研究実績の概要 |
通年の初年次ゼミ履修者に、授業を通して、コミュニケーション力、論理的思考力、異文化理解力、協働力、自己理解、キャリアへの意識、グローバル市民やグローバルという言葉への考えについて変化があったか、アンケート及びインタビュー調査した結果、全員がこれらの項目についての変化・成長を認識していた。また、特に有意義であった学習活動として、①クラス内ディスカッションと②ゲストスピーカー講義が挙げられた。 ①ディスカッションを通して多様な考え方を共有することで起きる化学反応の重要性が確認できた。具体的には「新しい発想を得た」、「話し合う中で元々の自分の考えが深まった」、「意見をもらうことで客観的な見られ方や自分を知る機会となった」、「多様な考え方を知り自分の当たり前を疑う大切さがわかった」など、刺激し合いながら学びを深めていく過程が確認できた。 ②「思考をかき乱す」インプットが時には効果的な可能性が示唆された。ゲストスピーカーのお話は学生にとって違和感が生じ消化が難しい内容であった。しかし、その後のディスカッションで解釈を深める機会をとった結果、「わからないことを楽しむことが大切だと思った」、「答えをすぐに出そうとすることは多様性とそれが持つ面白さを捨ててしまうことになる」、「答えがないということは考える人次第で良い方にも悪い方にも変わっていく」などの学びが述べられていた。思考をかき乱すことはVUCAの時代の疑似体験として有効な可能性が示唆された。 更に、カンボジアプログラムに参加した1年生へのアンケート結果から、自己理解の深まりや将来のキャリアへの意識の明確化できたこと、特にそれを1年生で体験できた意義、つまり、早いうちに海外滞在型学習を経験する重要性が確認できた。 また、教養教育、キャリア教育、国際教育、企業のグローバルマインド、アントレプレナーシップ教育など広範囲な情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたインタビューとアンケート調査は実施でき、また必要な情報収集も順調に進んでいる。少人数のゼミクラスが中心となる調査のためサンプル数は限られるものの、ヒヤリングやアンケート調査、またレポートや振り返りを分析することにより、学生の意識の変化を細かく確認することができた。翌年度以降も情報収集、学生へのインタビュー調査など、計画通り実施できると考えている。 特に、初年次教育は、キャリア、教養、汎用型スキル、動機付けなど多くの分野にまたがる内容であり、その内容も確立されていないことから、幅広い分野での情報収集が重要であり、多様な学会、業種を超えたセミナーなどにも積極的に参加し、情報収集を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請時の研究計画に従って情報収集と学生へのアンケート・インタビュー調査等を通してデータ収集・分析を進める。
1)情報収集・分析:国内外での初年次教育の取り組みや事例研究などについての情報を収集する。併せて、主体的な学びを引き出すためのファシリテーションや授業運営に関する情報の収集やスキルの習得を行い、適宜授業に反映させていく。その際、スーパーグローバル大学創成支援事業に採択された大学を中心に、ディプロマポリシーやカリキュラムポリシーの中での初年次教育の位置づけや具体的な授業内での取り組み、コアとなる内容などについて調査を行いたいと考える。
2)データ収集・分析:24年度に作成したグローバル科目の履修者にアンケートおよびインタビューツールを微修正しつつ、グローバル科目の履修者にアンケート調査およびインタビューを実施する。併せて振り返りレポートなども分析する。特に、本研究のキーワードでもある自己効力感やキャリアへの意識の変化とどのような活動によってそのような変化が起きたかという点に注目してアンケートやインタビューを通じたデータ収集と分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学生へのデータ収集には費用が発生せず、テーマに関する別予算があったことから、そちらからの予算支出としたため、研究活動は進めたが予算は繰り越すことになった。これは本研究計画申請時から大幅に円安が進み、海外渡航等の費用が計画時のようにはいかない可能性が高いことが懸念されるために今後の研究活動に支障が出kるだけ生じないよう講じた措置であり、研究計画自体は計画通りに進んでいるため問題はない。
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