研究課題/領域番号 |
23K02590
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
藤野 博 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (00248270)
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研究分担者 |
冨田 享子 (神井享子) 愛媛大学, 教育学部, 講師 (70908920)
加藤 浩平 東京学芸大学, 教育学研究科, 研究員 (20812481)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 文章表現 / 中枢性統合 / 実行機能 / 心の理論 |
研究実績の概要 |
(1)自閉スペクトラム症(ASD)の文章表現の問題とその支援法について、先行研究の知見をまとめ、論文として投稿して掲載された。 (2)ASDの小学生11名と定型発達(TD)の小学生25名を対象として、文章表現課題を実施した。また、関連する認知機能として、中枢性統合の機能を評価するため、Scherfら(2008)に基づくGlobal/Local課題(GL課題)を、選択による反応とアイトラッカーを用いて視線による反応を指標として実施した。また、実行機能のうちプランニングを評価するため、神井ら(2012)の方法に基づくハノイの塔課題を実施した。そして、心の理論を評価するため、藤野(2005)のアニメーション版心の理論課題ver.2を実施した。その他、言語発達と非言語性知能を統制するため、PVT-R絵画語い発達検査、レーヴン色彩マトリックス検査を実施し、自閉症の特性の有無と程度をアセスメントするため、親面接式自閉スペクトラム症評定尺度 テキスト改訂版(PARS-TR)とSCQ日本語版を実施した。 (3)心の理論課題とハノイの塔課題においては、TD群に比べASD群は有意に得点が低いという結果が得られた。GL課題においては、選択反応でも視線による反応でも両群間の差はみられなかった。このことは、ASD児がTD児に比べて局所図形に優位な処理を行っているわけではないことを示唆しており、ASDにおける弱い中枢性統合の仮説を支持しない結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画はほぼ当初の予定通り遂行でき、データの取得を行うことができた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが5類に移行し規制が解除されたとはいえ、対面での実験参加にまだ慎重な保護者が多かったためか、研究参加募集への応募がコロナ禍以前に比べ少なく、想定したほどの量のデータの取得はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
収集したデータの分析を行う。その他、令和6年度は研究分担者と連携し、余暇活動場面でのASD児の自由な言語表現の特徴との比較検討(加藤浩平氏)、および実行機能(プランニング)の観点からASD児の文章表現の検討(冨田享子氏)を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究で使用するアイトラッカーが、キャンペーン期間による特別割引価格となったため、当初の見積もり金額より30万円程度安価で購入できたことにより、次年度使用額が発生した。次年度使用額はこれとほぼ同額のデータ分析ソフトウェアの保守に使用する計画である。
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