研究課題/領域番号 |
23K02594
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
友松 郁子 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 招へい研究員 (20715007)
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研究分担者 |
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (10432436)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 学校看護師 / 医療的ケア看護職員 / 医療的ケア児 / インクルーシブ教育 / 普通学校 / 学校看護の専門性 / 職能 |
研究実績の概要 |
医療技術の進歩により、複雑かつ複数の医療ケア(人工呼吸器管理、経管栄養等)を必要とする障がい児数が、先進諸国を中心に増加傾向にある中、そうした子どもたちの教育機会が制限されている実情が明らかになってきた。日本では、そうした子どもたちは医療的ケア児と呼ばれ、2021年に「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法」が成立・施行され、本人と家族が、地域の学校への就学を希望した場合、必要な体制を整える当該自治体の責務となった。本研究は、その要の一つである医療的ケア看護職員(学校看護師)の専門性を整備し言語化することを目的としている。 令和5年度は、①日本の普通学校における医療的ケア看護職員並びに学校看護師に関する研究動向を整理(文献検討)、②諸外国におけるSchool Nurseについて、医療的ケア児並びに、インクルーシブ教育という観点から研究動向を整理(文献検討)、③普通学校に配置され、医療的ケア児の学校生活を支援している看護師19名(東京都、神奈川県)を対象にインタビュー調査を実施した。 ①により、学校看護師の役割として既存の研修教材で記載されている内容や、学校教育法における医療的ケア看護職員の規定(2021年)の範疇を超えた役割が、医療的ケア児をはじめとする学校現場の当事者から期待されていることが明らかになった。②により、普通学校に通う医療的ケア児は諸外国においても増加傾向にあり、こうした子どもたちの学校生活を支えるSchool Nurseへの需要が高まっている傾向が明らかとなった。他方、このテーマをインクルーシブ教育という観点から捉えた研究は非常に限定的であることも明らかとなった。③を通じて学校看護師らが従来の医療者としての視点を超えた観点を醸成するためには、複数の異なる疾患や医療的ケアニーズのある児と接すること、その経験を積むために一定の時間が必要との知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始年となる令和5年度は、本研究領域における文献検討と医療的ケア看護職員(学校看護師)を対象としたインタビュー調査を予定しており、概ね予定通り実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、令和5年度に実施した文献検討結果を最終化し、学会発表を通じてフィードバックを得た上で、論文化し学術誌で公開する。 また、フィールドワークを更に進め、医療的ケア看護職員(学校看護師)の包括的現状把握を目指す。まず、令和5年度に実施した学校看護師を対象としたインタビューの分析結果を、インタビュー協力者へフィードバックし再分析を重ねるアクションリサーチを実施していく。また、インタビュー対象者を拡大し、医療的ケア児本人並びに保護者、教員、教育委員会等行政職員にもインタビューを行う。更に、全国の学校看護師を対象としたアンケート調査を実施する。これらのフィールド調査の実施と分析を進め、令和7年度に医療的ケア看護職員(学校看護師)の専門性を整備し言語化することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度に東京都内で予定していた学校看護師へのインタビューの一部が、インタビュー協力者の都合により、令和6年度に予定変更となった。そのため大阪から東京への旅費が令和6年度へ繰り越しとなった。
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