研究実績の概要 |
2023年度は、アージリスとショーンの「行為理論」と「組織学習論」に関する文献を精査し、特に、組織における「1重ループの学習」から「2重ループの学習」への転換を促す「観察」と「省察」の重要性に焦点化し先行研究の検討を行い、本研究におけるデータの分析・考察のための理論的枠組みの設定に必要な整理を行った。さらに、「2重ループの学習」への転換を促す「観察」と「省察」に対して重要な意味を持つ教師教育における「社会正義(social justice)」と「教師のエージェンシー(teacher agency)」の概念についても先行研究の検討を行い、その成果を国内/国際学会で発表した。加えて、教師の多忙化や教師不足等、教師をとりまく環境も、教師の「観察」と「省察」を含む学習の質に大きな影響を与えるため、国内外の状況を調査し、その成果を国内/国際学会で発表した。 主な成果としては、教師の専門的学習時間の保障に関して日米の状況を比較検討した論文(北田佳子「所定勤務時間における「授業準備」の位置付けにみる教師の専門性と裁量性」『季刊労働法』283、2023年、pp.89-97)、日本の校内授業研究による教師の観察力と省察力の向上と社会正義やエージェンシーとの関連を扱った国際学会発表(Kitada, Yoshik. Collaborative Learning for Creating Democratic Classrooms, World Association of Lesson Studies Annual Conference 2023, Netherlands, November 28; Kitada, Yoshiko. Teacher Agency in School as Learning Community, The 11th International Conference of School as Learning Community, March 3.)がある。
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