研究課題/領域番号 |
23K02667
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
水谷 太尊 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (20287783)
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研究分担者 |
戸谷 収二 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20287791)
水橋 亮 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (20350150)
清水 公太 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (30907241)
小根山 隆浩 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (40350160)
中谷 佑哉 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (50770822)
齋藤 芳秀 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (80824523)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 歯科医学教育 / 医療安全 / オンライン教育 / 視線計測技術 |
研究実績の概要 |
研究代表者および分担者が中心となり、臨床実習開始直後の歯科学生に対して、医療安全対策演習(危険予知トレーニング:KYT)を参集型で実施した。演習では学生に対して静止画で医療安全教材を提示した。提示した内容は、過去に歯科診療で発生したアクシデントおよびインシデントに関連する内容とした。学生は、まず個人作業として静止画から危険事象および危険発生予測事項を抽出し、次いでグループ作業として各自が抽出した事象の共有と分析、次のステップとして事象に対する危険発生防止対策の立案と行動目標の作成を行った。本研究で行うオンライン型の医療安全教育演習のオリエンテーションとして十分に成果があったと考える。研究作業として、オンライン歯科医療安全教育の提示教材を作成するため、新潟病院における過去10年間のインシデント・アクシデントを集計し内容を分析した。結果をもとに、KJ法を用いて緊急性と重要度の観点から「歯科治療時の誤飲・誤嚥」、「歯科治療器具による口腔粘膜損傷」「治療器具による針刺し・切創」の3テーマが抽出された。そのうち、研究対象とする臨床実習生が歯科診療中に直接関係する事象は「針刺し・切創」が最も頻度が多かった。追加データーを加え過去15年にさかのぼると「針刺し・切創」の全数は116件で、そのうち80件が学生(歯学部学生および歯科衛生科学生)からの報告で、歯科麻酔注射針に関連する事象が最多であった。本研究で学生に提示するオンラインKYTの課題を「針刺し・切創」とし資料作成の準備を進めている。この集計と分析結果の一部を研究分担者が口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の研究計画に従い、日本歯科大学新潟病院でのインシデント・アクシデントを集計し内容を分析した。分析結果から医療安全教育のテーマとして報告頻度の高い「誤飲・誤嚥」、「歯科治療器具による口腔粘膜損傷」「針刺し・切創」を取り上げ、研究対象者に提示する教育資料を作成した。提示はマイクロソフト・パワーポイントを用い、臨床写真情報、文字情報を含む5~10分の教材とした。研究トライアルとして、臨床研修歯科医を対象としてオンラインKYTをノートPCを用いて実施した。研究トライアルのフィードバックとして、提示した教材では目的とする医療安全の教育効果が想定より低かった。教材の提示方法の変更を検討しているため当初の予定より計画は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
トライアル研究のフィードバックをもとに教材のブラッシュアップを行ったが、静止画の提示では教育効果が低いため動画情報を中心とした教材の提示に変更する。オンラインKYTで提示する教材のテーマも学生が最も頻繁に遭遇するインシデント・アクシデントの「針刺し・切創」として教材の作成を進める。 また、多くの学生がスマートフォンを日常的に使用し、コロナ禍においても学習視聴用デバイスとして使用していた現状を踏まえ、教材を提示するデジタルデバイスとしてスマートフォンを加え、ノートPCとの教育効果の比較を検討する。 研究成果の公表については、2024年7月に行われる第39回日本環境感染学会総会・学術集会にて「歯科医療系学生の臨床実習における針刺し・切創の特徴」と題して発表予定で、また2024年9月に行われる日本歯科衛生学会第19回学術大会にて「某病院における鋭利な器具刺しインシデントの現状と対策」と題して発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は研究遂行、情報収集のために医学教育関連の学会に参加予定であったが、日程調整ができず参加できなかった。 2024年度はこれまで集計分析した新潟病院の歯科医療に関するインシデント・アクシデントについての研究成果を学会発表し、またデジタルデバイスを用いた教育に関する情報収集のための関連学会への参加も予定している。
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