研究課題/領域番号 |
23K02732
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
張 興国 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60780492)
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研究分担者 |
ポンサトーン ラクシンチャラーンサク 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30397012)
SHEN Xun 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (90823378)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 運転教育 / 仮想現実 / 事故防止 |
研究実績の概要 |
本研究では、歩行者を対象に、仮想現実技術(VR)を利用して、道路横断時に接近車両の速度や距離を正しく認識する能力を高める歩行者横断教育システムを開発することを目的としている。 令和5年度では、歩行者の危険な飛び出しの行動を解析するために、車速の認識、車道横断時の可否判断やその判断が正しいかを調査した。また、歩行者の行動モデル化に際して、横断時のデータだけでは不十分という結論に至り、道路沿いの歩行行動も含めて分析した。特に障害物を追い越す場面を想定し、シナリオも構築した。 具体的には、Oculus Quest 2を使用したヘッドマウントディスプレイを用いて仮想空間を投影し、KATWALK mini Sを使用して仮想空間内で歩行を行った。このシステムでは、身体を背中のハーネスに固定し、足元のセンサーで足の動きを感知して自由に移動できるようにした。実際のシチュエーションは住宅街でのセンターラインのない道路を想定し、被験者は車に注意しながら障害物を追い越す行動を行った。データとしては、移動軌跡、歩行速度、体の向き、ヘッドマウントディスプレイの向き、歩車間距離、障害物との距離を測定した。被験者は12人で、それぞれ18回歩行した。 令和6年度では、これらのデータを基に歩行者のモデル化を行い、ARグラスなどのウェアラブル型デバイスを使用した事故予防策を検討する。また、ウェアラブル型デバイスを仮想空間内に構築し、実験を行っていく予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、VR歩行者横断システム及び走行データの計測の機能の開発は当初の計画通りに進展している。来年度はこれらのデータを基に歩行者のモデル化を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度では、リスク予測型歩行者横断支援システムを最適化するために、個別適合型歩行者モデルの設計を行う。具体的には、Hidden Markov Model (HMM) を使用して歩行者の歩行状態を推定し、Self-organizing Map (SOM) を用いて視線行動モデルを作成する。 そして、被験者実験により得られた結果を説明変数として、歩行者が車に先行して横断する確率を算出するモデルを、ロジスティック回帰を用いて構築する。 令和6年度後半では、設計された個別適合型歩行者モデルを活用し、高齢者の認知特性を計測・分析し、訓練効果を検証する。歩行者教育システムを使用し、被験者が危険源を察知してからの視線行動と反応時間を計測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において、実験内容の調整により、実験機材の納入が次年度に遅れたため、予定していたデータ収集と分析作業の予算が次年度に持ち越しとなった。このため、次年度使用が生じた。 次年度においては、以下の計画に基づき未使用予算を効果的に活用する。 実験の実施:本年度に実施できなかった実験を次年度の早い段階で行う。これにより、データの収集と分析を迅速に進め、研究成果の発表を目指す。研究成果の発表:次年度の学会やシンポジウムにおいて、研究成果の発表を予定している。発表に必要な資料作成や旅費に未使用予算を充当する。論文化および投稿準備:研究成果の論文化および投稿の準備を行う。
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