| 研究課題/領域番号 |
23K02736
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| 研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
辻 高明 長崎大学, 大学教育イノベーションセンター, 准教授 (00454603)
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| 研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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| キーワード | ピタ・チュータリング / 司書 |
| 研究実績の概要 |
近年,多くの大学で学生のノートPC必携化が進み,学生は図書館でノートPCを使い,データベースの検索や電子資料閲覧のために学術情報基盤を利用してレポート作成などの課題をしている.一方で大学図書館は,ラーニングコモンズなどが設置されアクティブラーニング拠点としても変革されている.しかし,図書館は「学術情報基盤」と「アクティブラーニング拠点」という2大機能が効果的に結び付いた学習支援の拠点となっているとは言い難い. 今年度は,長崎大学中央図書館で「学術情報基盤」と「アクティブラーニング拠点」という現代の図書館の2大機能を結び付けた学習活動:「図書館ベース学習」を設計し,初年次学生を対象に実践した.具体的には,ライブラリーラウンジというアクティブラーニング拠点で,初年次学生を対象とし,データベースでの文献検索とレポート修正のためのピア・ラーニングを設計し実践した.その実践は以下の3ステップで設計した.(1)事前課題として各自にレポートを書いてくるよう求め,実践では二人一組でペアを作り互いのレポートを試読する.(2)そして,相手のレポートの質を向上させるために有益な論文をデータベースで検索し,その中から一つを選び,選んだ理由とともにその論文を提示する.さらに,ペアから試読コメントも受ける.(3)ペアでフィードバックを互いに実施した後,各々,自身の論文を修正する. そして,図書館ベース学習の効果を,学生の振り返りシートをもとに,A:「論文を検索・引用することの意義」,B:「他者による試読・コメントの意義」の2つの観点から分析した.その結果,Aについては「自身のレポートの信頼性,説得力が高まる」及び「知識,情報が得られる」,Bについては「他者の新たな考えを取り入れられる」及び「自身のレポートの問題点・改善点を知る」という効果があることが示唆された.その成果を研究フォーラムの全国大会で発表した.
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
3: やや遅れている
理由
図書館ベース学習の実践では,①学生が図書館の学術情報基盤を利用して検索・閲覧する「電子資料」,②アクティブラーニング拠点に偏在する様々な「学習材」,③ピアチュータリングを行う「他者」,という3つの「リソース」(resource)を効果的に協調させる設計が重要である.1年目は,①,②,③について,それぞれ別々に実践に基づく分析を進めたため,それら各機能を効果的に結び付けた「図書館ベース学習」の実践と分析は2年目の今年度から開始することになった.そのため,やや遅れていると判断した.
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| 今後の研究の推進方策 |
今年度は,初年次学生の延べ200名弱を対象に図書館ベース学習の実践を積み重ね,各種データを収集した.それらデータの分析結果を学会発表,論文の形で発表するとともに,引き続き実践を重ね,図書館ベース学習の設計を高度化していく.
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| 次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,初年次学生の延べ200名弱を対象に図書館ベース学習の実践を積み重ね,データを収集・蓄積した.分析結果を研究フォーラムの全国大会で発表したが,オンライン開催であったため旅費支出の必要がなかった.また,自分でできる範囲の分析であったため,データ整理の謝金が未使用となった.さらに,本格的な発表を次年度に持ち越したため,その分未使用額が生じた. 来年度は,データの詳細な分析と国内外での学会発表を行うため,データ整理の謝金や出張旅費などに経費を使用していく予定である.
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