研究課題/領域番号 |
23K02776
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
城下 英行 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (10581168)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 防災教育 / 参加型アプローチ / パフォーマンス |
研究実績の概要 |
本研究では、まず、これまで個別の領域で深化してきた防災教育における2つの参加型アプローチをそれぞれ貫徹することで、短期的には領域内での専門家と非専門家の不平等なパートナーシップを生み出す。そして、その不平等さを解消することを原動力として2つの参加型アプローチを架橋することで、全体としてバランスが取れた平等なパートナーシップを構築することを目指す。この目的を達成するため、理論的研究を行いつつ、これまでに継続的に実施してきた和歌山県印南町での実践研究(「既知・未実施」のための参加型アプローチ)とネパール国シンドパルチョーク郡でのパネル調査(「未知・実施済/未実施のための参加型アプローチ」)を行うことで、2つの参加型アプローチを架橋することを試みている。 今年度は、理論的研究については、ホルツマンらのパフォーマンス概念を再検討し、パフォーマンスが完成する条件として、1)適度なOrganisedと2)周囲のOrganisingの受けとめ、が必要であることを明らかとした。和歌山県印南町における実践研究については、自主防災組織の役員を対象としたワークショップを開催し、大規模地震発生時に「津波てんでんこ」ができるようにするために必要なことについて議論を行った。また、2024年3月にネパール国のパネル調査を実施し、協力者20名の現在の状況について詳細に把握することができた。 加えて本研究に関連する成果について学会、研究会において発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、理論面ではパフォーマンス概念を再検討し、その結果を論文としてとりまとめ、現在、審査中である。実践面についても、和歌山県印南町での実践を行うことができた。また、ネパール国におけるネパール地震に関する復興状況パネル調査についても、新型コロナウイルスの影響で数年ぶりの現地訪問となったが、対象者全員の動向を把握することができた。
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今後の研究の推進方策 |
理論的研究、実践的研究のいずれも当初の計画通り進捗しているので、引き続き、計画に従って研究を遂行する。他方でネパール地震の被災地では、長期的なパネル調査に対して協力者がうんざりしつつあるのも事実である。この点については、現地の調査実施協力者やパネル調査協力者とも議論を行った。その結果、ネパール地震から10年を迎える今年度の調査については、パネル調査協力者の動機づけのためにワークショップのような形態で実施し、研究成果を直接的に調査協力者に還元できる方法で実施することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書資料の購入と分析用のソフトウェアの購入のために計上していた消耗品費が未執行となったため次年度使用額が生じた。 図書資料の購入費については、図書を別の予算で購入することができたために次年度使用額が生じたものであるが、研究遂行のために購入すべき資料は他にも存在することから図書資料を購入する予定である。 分析用のソフトウェアについては、年度末にパネル調査を行い、年度内には当該ソフトウェアを利用することがなかったため購入しなかったので、次年度当初に購入し、分析を開始する予定である。
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