研究課題/領域番号 |
23K02800
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
浅野 元子 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (20813984)
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研究分担者 |
野口 ジュディー津多江 神戸学院大学, グローバル・コミュニケーション学部, 名誉教授 (30351787)
若狹 朋子 近畿大学, 奈良病院, 教授 (70281269)
宮崎 佳典 静岡大学, 情報学部, 教授 (00308701)
松田 紀子 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (40759007)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 英語医学論文抄録 / 対訳コーパス / 英語学習支援システム / 語彙項目 / ムーブ分析 / アプリ開発 |
研究実績の概要 |
2023年度は予定通り,先の研究(基盤研究 (C) 課題番号18K2966)で構築した論文抄録英日対訳コーパスを実装したシステムを用いた医学英語論文抄録読解の授業実践を行った。 授業データの分析を機能追加の探究および英語教育の観点から実施した。 機能追加を目指した分析は,静岡大学 学術院情報学領域 教授 宮崎佳典先生の研究室にて安田 陸氏,増田 龍太朗氏を中心に実施され,研究成果の発表が5件行われた。(そのうちの3件は学生奨励賞,優秀賞,支部長賞を授与された。) 英語教育の観点からは,研究担当者(協力者*を含む)が分析を行い,特にTOEFL ITPのスコアが比較的低い学生においてシステムの有用性が示された。学術誌"Journal of Medical English Education"において研究成果の一部を公表した。 授業実践において,学生から「困難を感じた」との意見が多かったため,語彙項目に関するニーズ分析の一環として,システムに実装した7年分の英語論文抄録を対象に,学習者支援の観点から調査を行った。抄録の語彙は新JACET8000をはじめとする基本語リストによるカバー率が約80%と判明し,多くの抄録で類似した語彙が専門的な「多重語連結項目 (multiword items)」の一部として繰り返し使用される傾向がみられた。日本の大学生の平均語彙数を基本語リストを用いて調査した研究(Beglar, 2010; Hamada et al., 2021; McLean et al., 2014)を踏まえると学習方略の必要性が示唆された。研究成果の一部をVocab@Vic 2023学会にて発表した。英文報告書を準備した(印刷中)。 *研究協力者:大阪医科薬科大学 医学部医学科 語学教室 教授 藤枝美穂先生; 大阪医科薬科大学 薬学部 言語文化学グループ 非常勤講師 榊原佳織先生
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は予定通り,先の研究(基盤研究 (C) 課題番号18K2966)で構築した論文抄録英日対訳コーパスを実装したシステムを用いた医学英語論文抄録読解の授業実践を行った。 データの分析を,機能追加の探究および英語教育の観点から行った。 語彙項目に関するニーズ分析の一環として,英語医学論文抄録テキストを学習者支援の観点から調査した。 引き続き,語彙項目に関するニーズ分析を親密度調査などの手法などを用いて実施し,方向性を定めて論文テキストの収集とムーブ分析を行い,アプリ開発につなげたい。
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今後の研究の推進方策 |
語彙項目に関するニーズ分析の一環として,先の研究(基盤研究 (C) 課題番号18K2966)で対訳データの収集などに携わった岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医学系)組織機能修復学分野 廣砂賢祐氏(大阪医科薬科大学医学部医学科卒業生)を招聘し,大阪医科薬科大学医学部医学科 滝潤一郎氏の助力を得て対訳テキストの整備と分析を行い,調査を実施している。英文抄録における「語連鎖(lexical bundles)」と類似した機能を持つ日本語テキストの断片に,多様性と文脈に依存したニュアンスの違いがみられる傾向があり,学習者の負担となる可能性と学習支援の必要性が示唆される。結果をまとめて英文報告書を作成する予定である。 引き続き語彙に関するニーズ分析を親密度調査などの手法を用いて実施する。 論文全体のテキストを収集しムーブ分析を行い,対訳抄録におけるムーブとの連携を検討してアプリ開発につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に行った授業実践と授業データの分析を中心に行った。 語彙項目に関するニーズ分析の一環として抄録テキストの調査を実施している。 2024年度は引き続き語彙項目に関する調査を実施し,方向性を定めて論文テキストの収集とムーブ分析を行い,システム開発につなげる予定である。 このためのデータ収集に伴う人件費,消耗品の購入のために,次年度使用額と2024年度に請求した助成金を合わせて使用する予定である。
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