研究課題/領域番号 |
23K02854
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
伊藤 健彦 法政大学, 経済学部, 准教授 (20829585)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 一般的信頼 / 第二言語コミュニケーション / 居住地流動性 / マルチレベル分析 / WTC |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会環境単位の一般的信頼が第二言語コミュニケーションの積極性に与える影響を検討することであった。一般的信頼は社会環境、特に居住地流動性という人々の流入と流出の客観的な大きさによって形成されると言われているが、先行研究ではこうした社会環境単位の一般的信頼がコミュニケーションの積極性に与える影響は検討されていなかった。そこで、日本の各都道府県を社会環境単位とし、それぞれの都道府県に住む日本人を対象としたweb調査を行った。一般的信頼は居住地流動性に影響されることから、国勢調査をもとに、5年前と同じ住所の人の割合が低い(人口の流入・流出が高い) 都道府県から順に47都道府県を並べたリストを作成した。そして作成されたリストの各都道府県それぞれ100人(男女比同じ) を調査対象とした。なお、各都道府県内でも都市部と地方では居住地流動性が異なる可能性があるため、スクリーニングの際に県庁所在地に限定した。分析手法はマルチレベル分析を用いた。結果としてまず、ビッグファイブ性格特性を統制した上でも個人単位の一般的信頼が上昇すればするほど、個人単位の第二言語コミュニケーションの積極性が上昇した。さらに、県庁所在地単位の一般的信頼が上昇すればするほど、県庁所在地単位の第二言語コミュニケーションの積極性が上昇した。本研究の結果により、居住地流動性に基づいた社会環境単位の一般的信頼に応じて第二言語コミュニケーションの積極性が変化することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に行う必要があったデータ分析(特にマルチレベル分析)を終え、論文投稿した結果、国際学術誌に研究成果が掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
日本の都道府県単位の一般的信頼の効果検証を終えたことから、今後は国際比較研究を行う予定である。具体的には、英語が外国語である日本や中国のみならず、英語が公用語であるインドを対象とした調査を行い、一般的信頼が第二言語コミュニケーションの積極性に与える影響について国単位の比較考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンライン社会調査を行うための調査票はすでに完成しており、後は調査会社にデータ収集を依頼する段階となっている。しかし、調査対象者の国籍が多岐にわたることから、登録者に多くの国籍をカバーしている調査会社を探すのが難しく、今年度に至った。現在、データ収集を依頼する調査会社は絞れており、調整を行っている段階である。
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