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2023 年度 実施状況報告書

アタッチメントの潜在的な内的作業モデルと潜在的情動制御の関係:脳波研究から

研究課題

研究課題/領域番号 23K02855
研究機関早稲田大学

研究代表者

上淵 寿  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20292998)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードアタッチメント / 内的作業モデル / 潜在的認知
研究実績の概要

意識しにくい潜在的な「アタッチメントの内的作業モデル」(以下,IWMと記す)に関する,既存の測定指標は,測定に時間がかかるという問題があった(藤井他, 2015)。
そのため,潜在的な態度の測定課題の一種である,Single Category IAT(以下,SC-IAT)を使って,新たに潜在的なIWMの測定課題を作成した。この課題は,アタッチメントの不安と回避の2次元を測定するものである。この課題を作成するために,心理測定ソフトInquisit6およびweb実験用のInquisit webを購入した。
この課題を用いて,藤井他(2015)の追試を行った。既に,SC-IATを使用した先行研究もあるが(大浦他, 2018),これらの研究では,潜在的IATから顕在的な変数(抑うつ,共感など)への影響をみている。
しかし,本研究では,アタッチメントに関する閾下語彙判断課題を用いて,アタッチメントに関わる潜在的情報処理への影響を検討した。実験参加者120名に対して,オンライン実験を行い,潜在的IWMのSC-IATと閾下語彙判断課題への反応を測定した。その結果,潜在的回避が高いほど,他者に関する刺激語が提示された後,次に提示されたポジティブ語への反応が遅かった。これは先行研究(藤井他, 2015)では見られなかった現象である。この効果は,他者との親密性を回避する傾向が高いほど,他者のポジティブ情報を与えられて混乱したため,と解釈できるだろう。その他の先行研究で見出された効果は一切現れなかった。
今後は,従来の研究で見出されなかったこうした効果を吟味し,IWMの測定課題を再検討する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

【研究実績の概要】にも記したように,先行研究と異なる結果が得られた。そのため,本研究で作成した潜在的な「アタッチメントの内的作業モデル」(以下,IWMと記す)の測定指標については,さらに検討が必要である。上記の知見は,上記の課題の妥当性がまだ十分に得られていないことを示している。また,オンライン実験であるため,同一参加者に対して繰り返し実験を行うことが難しく,再検査法による信頼性の確認がまだできていないこともある。
以上のことから,本年度の進捗はやや遅れていると考えられる。

今後の研究の推進方策

【現在までの進捗状況】で記したように,潜在課題の信頼性・妥当性の確認が遅れている。そのため,再度実験を吟味して,実行していく。
また,脳波の測定に関しては,その専門家から教示を授かりながら訓練をしていき,今年度は実際に測定を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度に作成し完成させる予定だった潜在的課題について研究が遅れた。それは,実験によって先行研究と異なる結果が得られ,信頼性・妥当性について,さらに吟味が必要になったためである。ゆえに,次年度に追加の実験のための予算が必要となった。
主にこの予算は,オンライン実験での参加者へ支払う謝金に充てる計画である。

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公開日: 2024-12-25  

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