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2023 年度 実施状況報告書

メタ認知の社会的調整を促す英語学習モデルの検討

研究課題

研究課題/領域番号 23K02863
研究機関静岡大学

研究代表者

町 岳  静岡大学, 教育学部, 教授 (80819293)

研究分担者 中谷 素之  名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (60303575)
伊藤 崇達  九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (70321148)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードメタ認知 / 英語グループ学習モデル / 学習の共調整 / 社会的に共有された学習の調整
研究実績の概要

日本の英語教育では,英語による即興的なやり取りを苦手とする子どもが多いことが指摘されているが,この要因の1つに,遂行中の自分達のやり取りをメタ認知調整する難しさが指摘されている。本研究では遂行段階における英語のやり取りを,省察段階でモニタ役の児童と協働で振り返る英語学習モデルを開発し,その効果を検討する。
研究1・2では,そのための基礎研究として「話すこと(発表)」に焦点を当て,個人の発表をペアで省察する学習モデルを開発し,その効果を小学校高学年外国語科の授業で検証した。研究1では,両群に「スピーチのコツ(詳しく説明する,話を広げる,例をあげる)」を提示し,スピーチを省察する活動に,介入群はペアで,対照群は個人で取り組ませた。両群を「スピーチの構成要素(付箋の数)」で比較した結果,スピーチの内容によって,ペアで省察した方が,スピーチが改善されることが示された。このことは遂行段階における自分の活動をメタ認知調整することが難しい児童に対して,省察段階でモニタ役の児童と協働で振り返ることが効果的である可能性を示唆している。研究2では,ペアでスピーチの省察活動に取り組ませ,振り返りの視点の有無の効果を検証する。さらに研究3・4では,中学校外国語科の「話すこと(やりとり)」に焦点を当て,ペアのやり取りをグループで省察する学習モデルを開発し,その効果を検証する。
研究1・2で「学習の共調整(Co-regulation of Learning;以下CoRL)」の枠組みから,研究3・4で「社会的に共有された学習の調整(Socially Shared Regulation of Learning; SSRL)」の枠組みから,学び合いの質を検討することで,メタ認知の社会的調整プロセスの解明に寄与できると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究1・2では,「話すこと(発表)」における英語ペア学習モデルを開発し,その効果を小学校高学年外国語科の授業で検証する。研究1では,スピーチを振り返り改善する省察活動に,介入群はペアで,対照群は個人で取り組ませ,両群に対する効果の違いを「スピーチの構成要素(付箋の数)」で比較した結果,ペアでスピーチ改善に取り組ませたことの効果が一部で示された。この効果が生じた理由を解明するためには,ペアでどのような話し合いが行われたかについて,発話分析が必要であるが,分析作業には,まだ着手できていない。また研究2では,振り返りの視点(スピーチのコツ)の提示の有無による,ペアでのスピーチ改善への効果の違いを検証する。授業実践はすでに終了しており,付箋の数の集計や発話起こしは終了しているが,まだデータ分析には着手できていない。
研究3・4では,中学校外国語科の「話すこと(やりとり)」に焦点を当て,ペアのやり取りをグループで省察する学習モデルを開発し,その効果を検証する。学習モデルの開発と実践についてはすでに終了しているが,採取したデータの分析にはまだ着手できていない。
進捗状況を「やや遅れている」と判断したのは,このように研究全体として,学習モデルの開発と授業実践を先行させた結果,データの整理・分析・考察作業が後手に回っているためである。

今後の研究の推進方策

研究1から4の介入実践はすでに完了していることから,研究2年目の今年度は,その分析に注力する。具体的には,研究1・2では,ペアによる省察活動が個人の発表の質を向上させた(または向上させなかった)理由について,付箋の数や質・ペア間の発話をもとに,「学習の共調整(Co-regulation of Learning;以下CoRL)」の枠組みから検討する。
また研究3・4では,グループによる省察活動が,ペアのやり取りの質を向上させた(または向上させなかった)理由について,ワークシートの記述内容や,グループ内の発話をもとに「社会的に共有された学習の調整(Socially Shared Regulation of Learning; SSRL)」の枠組みから検討する。それぞれの分析結果は,学会発表や論文化などの形で公開することを目指す。
研究3年目には,研究1から4の結果を踏まえ,学習モデルにさらに修正を加えて最終的な完成モデルに洗練した上で,再度介入実践を行い,効果を検証・発表したい。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用が生じたのは,予定していたデータの整理・分析・考察作業に着手できていないためである。次年度は,発話起こしなどのデータの整理・分析・考察や、その研究結果の公開のために研究費を使用したい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 社会的に共有された学習調整の視点による振り返りが授業実践型相互教授によるグループ学習に及ぼす効果2023

    • 著者名/発表者名
      町 岳
    • 雑誌名

      日本教育工学会論文誌

      巻: 46 ページ: 121-124

    • DOI

      10.15077/jjet.S46063

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 授業を意味づける(7) 小中の指導法接続を図る外国語科の授業実践から研究者は何を語るか2023

    • 著者名/発表者名
      町 岳・秋田喜代美・鹿毛雅治・矢野淳・大石尚代
    • 学会等名
      日本教育心理学会第 65 回総会

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公開日: 2024-12-25  

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