研究課題/領域番号 |
23K02877
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
奥村 紀之 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 講師 (40510277)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | メンタルヘルス / 自動推定 |
研究実績の概要 |
本課題で対象としているメンタルヘルスの状況を抽出可能な文書の収集が非常に難しい状態であるため,大規模言語モデル(ChatGPTなど)を活用して,擬似的に日記等を出力させる方法について検討を進めている.基本的に出力はプロンプトに依存するため,擬似的な日記を生成させるためのOne-shotプロンプトを作成し,100件ほどの日記の作成を行っている.また,メンタルヘルスの不調を来す可能性のある出来事としてはハラスメントによる影響が考えられるため,心理学を専門とする教員に協力を依頼し,生成した日記に対してハラスメントの要素を含むかどうかの検証などを進めている.これにより,被験者実験でしか入手困難であった日記データの自動生成が可能になれば,大量のデータからの学習が可能となる. また,大規模言語モデルを活用した分類を行うため,フリーの大規模言語モデルを利用し,ファインチューニングを実施する方法について調査している.ChatGPTやGeminiなどのサービスは個人仕様にカスタムすることが難しい面もあるため,例えば東京工業大学の大規模言語モデルなどを利用できないか検証を始めている. なお,機械学習システムの検証実験として,画像認識に関する応用で実験データの取得方法,チューニング方法について報告を行っている.本システムでは,大規模言語モデルのベースとなっているTransformerを画像処理に応用したVision Transformerとそのファインチューニングによるもので,言語と画像の違いはあるものの本質に大きな違いがなく,本研究課題を遂行する上で十分な技術の習得ができている.本内容は人工知能学会全国大会へ投稿済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被験者実験を行うことが難しいため,データの取得方法の検討に時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
大規模言語モデルを利用した擬似的な日記データ等の生成について検証を進めているため,こちらの検証が完了次第,メンタルヘルスが悪化するタイミングの検出プログラムの構築に着手する.10名程度の被験者実験を想定していたが,大規模言語モデルによる自動生成が有効である可能性が高いため,より頑健なシステムの構築が期待できる. また,日記のように定期的に書くものではなく,X(Twitter)のように思いついたタイミングで書くようなメディアであれば,書き込みから次の書き込みまでの期間も一つの指標となる.そういった時系列データが扱えるかどうかの検証も併せて進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた学会が勤務地で開催されたため旅費の使用がなかったこと、および、研究の進捗状況に合わせて国際会議出張を控えたことが大きな理由である。
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