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2023 年度 実施状況報告書

いじめ場面での傍観者から仲裁者への変容:同調傾向の効果を調整する仲間集団の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23K02879
研究機関広島修道大学

研究代表者

西野 泰代  広島修道大学, 健康科学部, 教授 (40610530)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードいじめ / 仲裁と傍観 / 同調圧力 / モラルディストレス / 社会的規範 / 小・中学生 / マルチレベルモデル
研究実績の概要

いじめの周辺にいる子どもたちの動向がいじめの重篤化を左右することが明らかとなり、学校現場では傍観者を仲裁者に変容させる指導の重要性が共有され始めている。しかしながら、傍観と仲裁の実態が十分に把握されているとは言い難い現状から、傍観者を仲裁者へと変容させうる有効な教育的介入の道筋は未だ不透明である。本研究では、いじめ場面において多様な様態を有する傍観と仲裁が生起するプロセスについて、個人、仲間集団、学級集団から成るマルチレベルモデルを想定し、モデルの検証を通して傍観を抑制、あるいは仲裁を促進する調整変数を明らかにすることを目的とする。特に、子どもの同調傾向とモラルディストレスに注目し、「いじめはよくないと知りながら、子どもはなぜ傍観するのか」という問いについて解明することで、いじめ場面における傍観者を仲裁者へと変容させる教育的介入に寄与する知見を得ることを目指すものである。
これまでに実施した調査のデータ分析結果から、いじめ場面で見出された仲裁や傍観の様態は多様であり、それぞれ異なる心理的特徴を有し、また、各様態をとる子どもたちには異なる心理状態が付随していることが推察された。これらを踏まえ、本研究では、直近の調査データ(2022年秋実施)で効果が示された「社会的規範」を構成する下位概念についてさらに検討を加え、これを調整変数としたマルチレベルモデルを構築して検討を進めることとし、現在、新たな調査(2024年度実施予定)に向けて、調査票を構成する項目の選定を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、2023年度中に、小中学生を対象とした横断調査を実施する予定であった。しかしながら、前年2022年10月~11月に実施したおよそ3,000名の小中学生を対象とした調査で得られたデータを分析する中で、検討すべき課題が見いだされたことにより、それについて検討するための文献資料収集および新たな調査項目についての選定に時間を費やすこととなった。そのため、2023年度に予定していた調査の実施を2024年度に繰り越すこととした。

今後の研究の推進方策

2024年9月から11月までの間に、小学4年生から中学3年生1,800名(各学年300名)を対象に質問紙調査を実施する予定である。傍観と仲裁の多様な様態の測度のほか、個人レベル要因(同調傾向、共感的関心、モラルディスエンゲージメント、モラルディストレス)、仲間集団レベル要因(社会的規範など)と学級集団レベル要因(学級風土など)を用いて検討する。交互作用モデルを用いたデータ分析から、傍観・仲裁の生起に対して有効な調整変数を特定する。特に、同調傾向、モラルディストレスの効果が仲間集団と学級集団の影響によりどう調整されるかに注目して検討をおこなう。

次年度使用額が生じた理由

当初、研究期間の初年度において大規模調査を実施する予定であったが、調査票で用いる質問項目の選定に時間を要したこともあり、調査の実施を次年度に延期することとなった。そのため、調査の実施にかかる費用をすべて次年度に繰り越す必要が生じた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] いじめ場面での仲裁と傍観 ー学級変数との関連について学校段階差による検討ー2024

    • 著者名/発表者名
      西野 泰代
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
  • [学会発表] いじめに対する教師の呼応性といじめ場面での仲裁・傍観との関連2023

    • 著者名/発表者名
      西野 泰代
    • 学会等名
      日本教育心理学会第65回総会
  • [学会発表] いじめ場面で仲裁するか傍観するか ー同調傾向,共感的視点取得,モラルディストレスの役割ー2023

    • 著者名/発表者名
      西野 泰代
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会

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公開日: 2024-12-25  

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