研究実績の概要 |
Paper Folding Test(PFT)は折り紙を連想させる課題であり,メンタルローテーションテストとともに空間スキルを測る課題として広く認識されているが,両者は測定するスキルの性質が異なる可能性が考えられる。本研究ではpaper foldingに着目し,大人を対象として空間スキル課題を実施し,PFTや折り紙への取り組み時の思考過程を検討することを目的とする。 本年度は,まずpaper foldingについての先行研究の整理を中心に行った。近年,折り紙に関連する認知過程に関する研究が盛んになっている。抽象的な折り図を読み取りながら作品を折る折り紙課題の取り組みには,読み,再定式化,再概念化,評価等を含む複雑で多層的な認知的プロセスがあるとされる(Tenbrink & Taylor, 2015)。また,mental paper folding課題はメンタルローテーション課題と比較すると,脳内の活性化の様相が異なることが示されている(Milivojevic et al., 2003)。一方で,Burte et al.(2019)はPFT課題取り組み時には,多くの場合,単純ヒューリスティックが用いられることを明らかにした。 このように,paper foldingが他の空間課題と比べて多様な認知プロセスを含むことが示されている。本研究では,幼児を対象とした視線分析研究の結果も踏まえ,引き続き実施課題の検討を行うこととする。
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