研究課題/領域番号 |
23K02926
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
三田村 仰 立命館大学, 総合心理学部, 准教授 (20709563)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 文脈的カップルセラピー / カップルセラピー / 夫婦/カップル |
研究実績の概要 |
本研究計画では、全体を通して,現代日本の文脈に即した2セッションのみからなる「超短期カップルセラピー」のプログラム開発およびその効果検証をおこなうことを目的としている。この介入プログラム(文脈的カップルセラピー(CCT))については,現段階で2セッションのみのプロトタイプ版について,予備的なランダム化比較試験によって有効性を支持するデータが得られた。そこで,本年度は,CCTの実施手続きと理論的な整理を中心におこなった。 さまざまなカップルセラピーの中におけるCCTの位置づけとして,CCTは機能的文脈主義という哲学を背景とした,文脈的な行動的科学(CBS)を基礎としたカップルセラピーの一つとして理解できることを整理した。CBSの領域では,これまで個人を対象とした心理療法や効果的な教育,組織開発などといった広い対人援助活動がおこなわれ,それらが連動しながら体系化されてきている。そのため,CCTをCBSにおける対人援助の形態の一つとして整理することで,これまで分断されがちであった,カップルセラピーと他の心理的支援法を有機的につなぐことが可能になると期待できる。 また,CCTの実践手法に関しても整理をおこなった。CCTのプログラムは,ステップ・バイ・ステップのマニュアルによってではなく,原理に基づいての柔軟な実践をおこなうものとして位置付けた。現段階では,CCTの実施上の原理としては,原理1:同盟関係を速やかに築き維持すること,原理2:セッション内での気持ちのすれ違い(emotional differences)を思いやりある気づきへ変換すること,原理3:新たな感情的な相互作用体験の機会を創り出すこと,の3つに整理するに至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度内に効果測定指標の基準値の設定が行えるよう計画していたが,より簡便な測定方法について検討を始めたことと,関連する概念の整理をおこなう作業が生じたため,やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
少数のカップルを対象として,単一事例デザインを用いて,文脈的カップルセラピーが時間経過に沿ってどのように効果を生じさせるのかを検証する予定である。併せて,このプログラムのより具体的な手続きや進め方についても記述をおこなっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
質問紙調査の実施を本年度見送ったため。次年度には実施予定である。
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