研究課題/領域番号 |
23K02928
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
榎木 宏之 広島国際大学, 心理科学研究科, 准教授 (90814236)
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研究分担者 |
甲田 宗良 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 講師 (50736189)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 曖昧さへの態度 / メンタライジング / 抑うつ / 不安 / 社会適応 |
研究実績の概要 |
今年度は,今後の研究期間全体の計画を精緻化させるため,予備的研究(科研費(若手)20K14223)として既に収集したデータの下記の解析を通して,研究デザインを検討した。 研究題目:メンタライジングとメンタルヘルス・適応との関連における曖昧さへの態度の調整効果 【目的】“メンタライジング”と“抑うつ・不安/適応”の両者の間で,曖昧さへの態度は調整効果を検討する。 【方法:対象・尺度】一般健常者(N=460,18~75歳),①曖昧さへの態度:ATAS(4因子,26項目)(Enoki et al., 2018)②社会適応:SASS(3因子21項目)(後藤他, 2005)③メンタライジング: J-MentS(日本語版メンタライゼーション尺度)(3因子,22項目)(松葉他, 2019)④抑うつ:PHQ-9(9項目)(村松, 2005)⑤不安:GAD-7(7項目)(村松他, 2010),データ収集方法:業者委託によるWeb調査 【結果】メンタライジングと抑うつ及び不安症状との関連に対する曖昧さへの態度の調整効果を検討するため,目的変数としてPHQ-9,GAD-7及びSASSを投入し,説明変数として,階層的重回帰分析を行った。その結果,PHQ-9では他者に対するメンタライジングとATAS-enjoymentとの間で,GAD‐7では他者に対するメンタライジングとATAS-enjoymentおよび自己に対するメンタライジングとATAS-enjoymentとの間で,そしてSASSにおいては,メンタライゼーションに対する関心とATAS-anxiety との間で交互作用が認められた。【考察】メンタライジングと抑うつ・不安および適応との間における,曖昧さへの態度の調整効果が認められた。特にメンタライジングと精神健康の間では,ATAS-enjoyment因子の果たす機能に注目することが課題として示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予備的調査結果を通した,研究計画の検討の段階に留まっている。 遅れている理由として,社会機能であるメンタライジングと曖昧さへの態度をはじめとする他の気質および症状といった水準の異なる変数間の仮説モデルの明確化が十分にできていないことが,実際に調査等の実施に移ることの妨げとなっている。次年度は,この点を速やかに打開して調査に移ることができるよう準備を進めて行く。
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今後の研究の推進方策 |
(2024年度の主要課題)健常群における適応モデルの検討 《ASD特性―メンタライジング機能―曖昧さへの態度―感情制御―対処方略-精神症状-適応的行動/QOL》の各特性の関係を見出し、ASD特性から適応行動までの心理構造を包括的に捉える。具体的には,各尺度間の関係を解析することで,曖昧さへの態度を含む各変数が社会適応に与える影響を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究進捗の遅延に伴い,予定していた調査及び学会発表等への支出が滞った。次年度に調査及び学会発表等における使用を予定している。
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