研究課題/領域番号 |
23K02938
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
上田 修史 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (20524060)
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研究分担者 |
杉元 幹史 香川大学, 医学部, 教授 (10243768)
田岡 利宜也 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (10403784)
野口 修司 香川大学, 医学部, 准教授 (40813431)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 腎移植ドナー |
研究実績の概要 |
本邦で実施される腎移植の約9割は生体腎ドナー(以下ドナー)に依存している。多くのドナーは腎臓の提供を後悔することから生じる「健康関連QOL(health related quality of life: HRQOL)の悪化」に直面することが明らかとなっている。本研究では、移植医だけでなく精神的評価、治療を専門とする臨床心理士が介入し、早期からドナーの精神的健康の低下を予測し、HRQOLの低下の予防法を開発することを目的としている。そこでドナーのQOLや解決構築度尺度に関する研究を継続している。 これまでのSF-36によるQOLと解決構築度尺度の関連を検討してみたところ、症例数がまだ少ないためか有意な関連(解決構築度尺度の有用性)は証明できなかった。またドナーの解決構築度尺度のアンケートの回収率、特に術前に病棟で依頼したアンケートの回収率が非常に悪いことが判明した。2020年11月から2023年5月の間、回収率は16/29名(55.2%)であり、スタッフに改めて研究内容やアンケート回収について周知を行った。2020/11月から2024/2月までの間に研究に同意が得られたドナー37名のうち、術前、術後3ヶ月ともにアンケートを回収できたのは21名であり、うち回答に不備があった1名を除いた20名について解析を行った。術前と術後3ヶ月での解決構築度尺度の点数(平均値、標準偏差)はそれぞれ49.00±5.57、48.95±7.22とほとんど変化がなかった。ドナー各々における術前と術後3ヶ月での解決構築度尺度の点数にも相関が得られなかった(R2=0.0229)。面談については臨床心理士の協力がえられており、ほとんどのドナーに対して行えているが、引き続き症例数を増やして検討をすすめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定どおり、年間10件程度の腎移植術を施行できているが、アンケートの記載あるいは心理士の面談に協力がえられない方がいたり、ドナーの面談の日時が合わないことなどの理由で、現時点では移植実施数のままのデータが得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
臨床心理士の先生、当科スタッフなど協力のもと引き続き研究をすすめる。将来的には十分なデータがそろう見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ数が不足しており、十分な検討、解析ができず国際学会の発表や論文発表までに至っていない。それに伴い今年度の使用額も少額となった。
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