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2023 年度 実施状況報告書

注意欠如・多動症(ADHD)と発達性協調運動症(DCD)の鑑別・評価法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K02948
研究機関四天王寺大学

研究代表者

鈴木 浩太  四天王寺大学, 教育学部, 准教授 (20637673)

研究分担者 加賀 佳美  山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20436877)
北 洋輔  慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90627978)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードDCD / ADHD
研究実績の概要

注意欠如・多動性症(ADHD)と発達性協調運動症(DCD)は、類似した場面で困難さを抱えるため、ADHDとDCDを鑑別することは困難である。本研究では、ADHDとDCDの正確な鑑別・評価法を確立することを目的にする。そこで、行動観察チェックリストと脳機能検査の開発をめざしている。行動観察チェックリストの開発のために、既存の尺度を購入し、行動観察チェックリストに使用できる項目の収集を行った。しかし、DCDの診断ツールの最新版であるMovement Assessment Battery for Children, Third Edition (MABC-3)の販売が遅れ、2023年度に入手することができなかった。2024年度に、MABC-3も購入し、この検査に関連した項目も加える予定である。また、医療機関で心理検査を実施している心理士にインタビューを行っている。インタビューから、自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(SLD)の項目も加えた方がよいと判断された。そのため、ADHD、DCD、ASD、SLDの項目を含む行動観察チェックリストを作成する予定である。今後、さらにインタビューのデータを蓄積していき、行動観察チェックリストを作成する予定である。脳機能検査の開発のために、予備的に、成人を対象にした脳波の実験を実施した。脳波のデータを分析し、フランカー課題の順行性制御のメカニズムを明らかにしている。今後、子どものデータを収集していき、脳機能検査として活用できるのか、検討する予定である。また、ADHDに関する抑制機能の文献を収集し、論文としてまとめた。特に、Nogo-P3に着目し、脳機能の指標を検査に臨床応用する際の限界について論じた。この論文が国内誌「生理心理学と精神生理学」に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、ADHDとDCDの鑑別方法を提案することである。DCDの診断ツールであるMovement 本研究は、ADHDとDCDの鑑別方法を提案することである。DCDの診断ツールであるMovement Assessment Battery for Children, Second Edition (MABC-2)がMABC-3 に改定され、2023年秋に販売される予定であった(両者ともに英語版)。国際的に活用できるチェックリストにするために、MABC-3の項目についても考慮することを検討している。しかし、MABC-3の販売が遅れ、2023年度に入手することができなかった。このような事情があるものの、Conners 3 日本語版などの尺度は入手し、行動観察チェックリストの項目案を作成している。医療機関で心理検査を実施している心理士にインタビューを行った。現在のところデータが不足しているが、複数の医療機関に依頼文を送付しており、十分なインタビューデータが収集できる予定である。そのため、2024年度中には、行動観察チェックリストの項目が作成できると見込みである。また、脳機能検査の開発のための脳波データの収集も順調に進んでいる。フランカー課題遂行中の脳波を記録しており、予備的なものも含まて、150名のデータが得られている。また、ADHDの脳機能に関する文献レビューを行った。抑制機能、特にNogo-P3に着目してADHDの特徴を検討した。脳機能の指標を検査に活用する際の限界について論じた。この論文が国内誌「生理心理学と精神生理学」に掲載された。

今後の研究の推進方策

行動観察チェックリストに関して、インタビューのデータを収集しているところである。インタビューの中で、ADHDとDCDだけでなく、自閉スペクトラム症(ASD)や限局性学習症(SLD)についても行動上の評価を行っていることが明らかになった。行動観察チェックリストにASDやSLDの項目を追加したほうが臨床上活用しやすいと判断された。そこで、ASDとSLDに項目も加えて、行動観察チェックリストの項目を作成していく予定である。今後、インタビューのデータを集積していく。既存の尺度、インタビューデータを含めて、行動観察チェックリストの案を作成し、研究体制内外で議論を重ねていく中で、今年度中に行動観察チェックリストを完成させる。また、フランカー課題遂行中の脳波の記録、ADHDに関する脳機能の文献検討を行っている。今後、フランカー課題の脳波の分析を行い、順行性制御のメカニズムを明らかにする。これらの知見に基づき、脳機能検査の開発のために、データを収集していく。

次年度使用額が生じた理由

DCDの診断ツールであるMovement Assessment Battery for Children, Second Edition (MABC-2)がMABC-3 に改定され、2023年秋に販売される予定であった。しかし、MABC-3の販売が遅れ、2023年度に購入することができなかった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] The effects of positions on deviant processing in mostly incompatible blocks in the flanker task2024

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Kota
    • 雑誌名

      Psychophysiology

      巻: 61 ページ: e14509

    • DOI

      10.1111/psyp.14509

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 神経発達症児に対する医療資源の配分に関する一般小児科医と専門医師の認識―厚生労働省調査研究から2024

    • 著者名/発表者名
      鈴木 浩太、加賀 佳美、稲垣 真澄
    • 雑誌名

      脳と発達

      巻: 56 ページ: 39~46

    • DOI

      10.11251/ojjscn.56.39

  • [雑誌論文] Contingency learning on the proportional congruency effect of the Stroop task is manifest in deviant processing2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Kota
    • 雑誌名

      NeuroReport

      巻: 35 ページ: 170~174

    • DOI

      10.1097/WNR.0000000000001991

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 注意欠如・多動症児・者における抑制課題遂行中の脳活動に関する文献的検討――Nogo-P3を中心にして――2023

    • 著者名/発表者名
      SUZUKI KOTA
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Physiological Psychology and Psychophysiology

      巻: 41 ページ: 172~183

    • DOI

      10.5674/jjppp.2311si

  • [学会発表] ストループ課題における比率一致性効果と逸脱処理--事象関連電位による検討2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 浩太
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
  • [学会発表] 特別支援教育における発達障害への実験的接近(10)―群間差に焦点を当て“ない”分析―2023

    • 著者名/発表者名
      北 洋輔, 平田 正吾, 鈴木 浩太, 池田 吉史, 岡崎 愼治
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第61回大会
  • [学会発表] フランカー課題の不一致刺激に対する視覚ミスマッチ陰性電位2023

    • 著者名/発表者名
      鈴木 浩太
    • 学会等名
      日本生理心理学会第41回大会

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公開日: 2024-12-25  

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