研究課題/領域番号 |
23K03009
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
藤村 友美 同志社大学, 心理学部, 准教授 (90623992)
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研究分担者 |
市川 寛子 東京理科大学, 教養教育研究院野田キャンパス教養部, 教授 (60540367)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 表情同調 / 表情筋電図 / 利他性 / 向社会性 |
研究実績の概要 |
私たちは,他者の笑顔に思わず微笑み返したり,悲しそうな顔をみると悲しそうな顔をしてしまう。表情筋電図法を用いた実証研究では,笑顔に対しては大頬骨筋活動が,悲しみ顔に対しては皺眉筋活動が生じることが示されている。この反応は,表情模倣や表情同調と呼ばれている。表情同調には,他者との関係性における親和性 (affiliation) が重要であるといわれている。しかしながら「親和性」は多義的であり,どのような心理的要因が親和性を高め,表情同調を促進するのかは明らかではない。表情同調の社会的機能を理解するためには,その背後要因を探る必要がある。そこで本研究では,「信頼」に着目し,表情同調に及ぼす影響を検討することを目的とした。申請者は,信頼できない他者の笑顔に対しては表情同調が抑制されることを示しており,表情同調が他者との関係性を構築・維持する機能を有しているのであれば,表情同調を抑制することで信頼できない他者との関係性を遮断しているとも考えられる。 今年度の主な実績は大きく2点ある。1点は,進化心理学的観点から,表情表出に関わる個人特性に関するレビューを行ったことである。このレビュー調査から,利他性や向社会性が高い個人は表情同調が大きく生じる可能性が見いだされた。信頼性に加えて,これらの個人特性との関連を調べる実験計画を策定した。もう1点は,実験室の整備である。電磁シールドされた実験室を整備し,ノイズの少ない筋電図データを測定できる環境を整えることができた。この実験環境で,精度の高い筋電図反応を測定可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験室の改修工事が入ったため,当初の予定であった筋電図計測の実験実施が叶わず進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
利他性と向社会性との概念を整理し,これらの個人特性が表情同調に及ぼす影響について,実証実験を行い確実にデータを取得する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた機器等の購入や実験実施の謝礼が使用されなかった。次年度に計画的に執行する予定である。
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