研究課題/領域番号 |
23K03014
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
大杉 尚之 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (90790973)
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研究分担者 |
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30322241)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | お辞儀 / 頷き / 首振り / ホスピタリティ / 魅力 |
研究実績の概要 |
本研究ではお辞儀,頷き,首振り等の身体動作を行う場面状況を模擬することで,相手や状況ごとの適切なパラメータを推定する手法を開発する。今年度は,身体動作の適切さを左右するパラメータの特定(研究1)と身体動作が人物印象に及ぼす影響の検討(研究2)に関連する研究を中心に行った。具体的には,一般的には悪いお辞儀として知られている「顔が上がったお辞儀(実験1A)」,「顔と視線が上がったお辞儀(実験1B)」,「背中を丸めたお辞儀(実験1C)」,「首だけのお辞儀(実験1D)」の4種類を模擬した条件と通常のお辞儀条件を比較し,悪いお辞儀が人物の印象(魅力)に及ぼす影響を検討した。48体の中程度の魅力のCGモデルが良いお辞儀または悪いお辞儀動作をした後,そのモデルの魅力を評価する実験を行った。また,お辞儀動作の途中で停止をするかどうかも操作し,お辞儀をしない統制条件と比較した。その結果,「顔が上がったお辞儀(実験1A)」と「首だけのお辞儀(実験1D)」では,お辞儀による魅力上昇効果が生じたものの,通常のお辞儀に比べると効果量は小さかった。また,「背中を丸めたお辞儀(実験1C)」では,通常のお辞儀と変わらない頑健なお辞儀効果が生じた。さらに「顔と視線が上がったお辞儀(実験1B)」では,お辞儀により魅力が低下し,途中で停止をするお辞儀の方がより魅力低下が大きいという,通常とは逆の結果が得られた。これらの結果から,お辞儀中に視線が外れることが,動作による魅力上昇には必要であり,視線が外れていないことが相手に伝わるとネガティブな印象を形成する可能性が示された。 上記の研究に加え,お辞儀の文化差に関する研究に関する学会発表,お辞儀実験のウェブ実験に関する誌面発表,頷き動作が選択判断に与える影響に関する誌面発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,当初の予定通り研究1と研究2に関連する実験を行うことができた。また,研究3以降の準備のためのCGモデルの作成,実験環境の準備にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,一般的に悪いと信じられている身体動作(お辞儀動作4種類)に実験条件を絞り込んだ上で人物印象に及ぼす影響を検討した。しかし,身体動作の適切さに影響するパラメータについて幅広く調べたわけではない。そこで,身体動作の適切さを左右するパラメータの特定(研究1)について,身体動作に関する意識調査や探索的なパラメータ推定実験も行いながら進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用するCGモデルデータの購入については,次年度以降に予定している仮想現実実験環境の構築と合わせて行うこととした。また,予定していたオンライン実験の一部を次年度に実施することとしたため,未使用分が生じた。
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