研究課題/領域番号 |
23K03032
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐野 太郎 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (10773195)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | Fano多様体 / Calabi-Yau多様体 |
研究実績の概要 |
本年度はカラビヤウ多様体の変形やファノ多様体のK-安定性について研究した。 カラビヤウ多様体の変形については、ddbar補題を大阪大学の幾何セミナーでの講演をきっかけに研究を開始し、3重交差がない場合に中間コホモロジーがホッジ対称性を満たすことを示した。また、偏極ホッジ構造がある3次元の場合に入ることも証明した。これらはFriedmanやLiによるClemens多様体上の偏極ホッジ構造の存在結果の一般化である。これに関するプレプリントを執筆中に他の研究者により同様の結果を証明したプレプリントがarXivにあがってしまい、目下対応中である。ホッジリーマン関係式と呼ばれる、ケーラー多様体で成立するがケーラーでない多様体では必ずしも成立しない性質を、どこまで一般の複素多様体で成り立つか探求したのが本研究実績である。正規交差多様体の潤滑化として申請者は橋本氏と共にケーラーでないカラビヤウ多様体の構成をおこなったが、その多様体がホッジ対称性やH^3上では偏極ホッジ構造を持つことがわかった。また、ホッジリーマン線束という概念を導入し、その例などを調べ、ケーラーでない多様体上でもそういった線束があるかどうか調べた。 また、Fano多様体のK-安定性についても研究中である。特にTasin氏と証明したFano超曲面のK-安定性の結果を改良できないか研究中であり、一部結果も得ている。 また、Liu氏とTasin氏と共に研究した球面上の佐々木アインシュタイン計量の無限個の族に関する論文が無事に国際雑誌に受理された。その過程で論文に記述の追加をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Calabi-Yau多様体のddbar補題についてはもう少し早く完成させたかったが、K-安定性の研究は少し進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
ddbar補題は想定以上に広い範囲で成り立ちそうなので、関連するケーラーでない複素多様体の例を見つけたいと考えている。また、代数次元に関し興味深い例も見つかったので、その例の考察も進める。有界性に関してはあまり進んでいないので、考察を深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は学内業務が忙しく、出張がややしづらい状況であった。また、イタリア出張は2週間だったが、滞在費は先方負担であったので、その分次年度使用額が生じた。 次年度に長期海外出張があるので、そのときの近隣移動費などに使う予定。
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