研究課題/領域番号 |
23K03036
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
瀧 真語 東海大学, 理学部, 准教授 (30609714)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | K3曲面 / 非シンプレクティック / 非純 / Galois点 |
研究実績の概要 |
K3曲面はその定義から至る所で消えない正則2形式を持ち,対称性を表す自己同型はその正則2形式への作用で特徴付けられる.今年度は主に,K3曲面上の有限自己同型で正則2形式へ非自明に作用するもの(「非シンプレクティック」という)について,二つの視点から調べた. 一つは自己同型の位数と正則2形式への作用の位数が異なる場合(「非純」という)である.特に自己同型の位数が奇数の場合に「どのような固定点集合が現れるか」ということを決定した.自己同型の位数が素数の場合は,このような固定点集合が自己同型の分類そのものに結びついたので,有益な結果である.これに関しては既に論文としてProceedings of the Japan Academy, Ser. A Mathematical Sciencesから出版済みである. もう一つはGalois 点を持つ4次曲面のK3曲面としての特徴付けについてである.射影空間の超平面として得られる曲面において,関数体を用いることで「Galois 点」という概念を定義することができる.「Galois 点」を持つものは非常に珍しいものとされているが,Galois 点を1個持つ4次曲面(最も一般的な場合)と8個持つ4次曲面(最も特殊な場合)について調べた.4次曲面はK3曲面の具体例として知られているが,「Galois 点を持つ」と言う条件から,その4次曲面には位数3の非シンプレクティック自己同型が作用する.そのような自己同型のテクニックを用いて,Galois 点を持つ4次曲面を特徴付ける研究を行なった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非純な非シンプレクティック自己同型に関しては「偶数位数」の場合,Galois点を持つ4次曲面のK3曲面としての特徴付けに関しては,「もっとも一般的な場合」と「最も特殊な場合」について,大まかな様子が分かったから.
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今後の研究の推進方策 |
まずはGalois 点を1個または8個持つ4次曲面のK3曲面としての特徴付けに関する論文を出版まで辿り着かせることである.4次曲面がGalois点を持つ場合,その個数は1,2,4,8のいずれかなので,今後の課題としてはGalois点を2個持つ場合と4個持つ場合も調べてしまいたい. また,24年度は秋ごろに勉強会(研究集会)を開催する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
学内業務の都合上,いくつかの出張の期間を短縮(または中止)せざる得なかったから.
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