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2023 年度 実施状況報告書

安定層のモジュライ空間の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K03053
研究機関神戸大学

研究代表者

吉岡 康太  神戸大学, 理学研究科, 教授 (40274047)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード安定性 / ベクトル束 / 複体 / アーベル曲面
研究実績の概要

代数多様体上の安定層のコホモロジー群は底空間の性質を反映し、また安定層のモジュライ空間の性質を理解する上でも重要な対象である。これまでの研究においてはしばしば曲面のピカール数を1に制限した。それにより代数多様体の変形によらない性質等が得られた。一方標準因子が数値的に自明な曲面の場合、この制限は大きな制約となる。そこでR5年度はピカール数が1でない場合の曲面として、楕円曲線の直積などのアーベル曲面の場合に安定層のモジュライ空間の性質を調べた。とくにnon-isogeneousである楕円曲線の直積について、モジュライ空間の一般元について、そのコホモロジー群がリーマンロッホの定理から期待されるふるまいをすること、すなわちweak Brill-Noether性が成り立つことを確かめることができた。モジュライ空間を調べるのに、ピカール数が2以上の場合、ample錐の形の複雑さが解析を困難にする。そこで安定性の偏極への依存性について、既存の結果等と比較しながら研究を進めた。これはIzzet Coskun (University of Illinois Chicago, USA)とHoward Nuer (Technion, Israel Institute of Technology)との共同研究である。

楕円曲面上の層に対し、相対的フーリエ向井変換と相性が良い安定性を導入できるが、この安定性がある種の条件のもと相対的フーリエ向井変換で保たれることを確かめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

部分的な結果(アーベル曲面上の安定層のモジュライ空間のweak Brill-Noether性)ではあるが、ピカール数2以上の曲面についても比較的早期に結果を得られたから。今後はこの結果の拡張を研究し、得られた結果を論文にまとめる。

今後の研究の推進方策

ピカール数2の楕円曲線の直積についてweak Brill-Noether性が成り立つことは確かめられることから、もっと一般の場合を調べ、それらの結果を論文としてまとめる。またほかのピカール数が1でない曲面上の安定層のモジュライ空間についてその構造を調べる。

次年度使用額が生じた理由

学術雑誌および図書購入費用が計画より少額で済んだ。また部分的ではあるがweak Brill-Noether性に関する結果を思いがけず早期に得られたため、アーベル曲面上の安定層の解析を進めてから関連研究者との打ち合わせをするほうが効率的であることが判明した。今後は学術雑誌購入費用および研究打ち合わせ旅費として使う。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] technion/Israel Institute of Technology(イスラエル)

    • 国名
      イスラエル
    • 外国機関名
      technion/Israel Institute of Technology
  • [国際共同研究] University of Illinois Chicago(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Illinois Chicago
  • [学会発表] アーベル曲面上の安定ベクトル束2024

    • 著者名/発表者名
      吉岡康太
    • 学会等名
      第3回仙台保型形式小集会 「保型形式, 代数幾何, (保型)微分作用素、頂点作用素代数」 R6年2月3日--4日, 東北大学理学部
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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