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2023 年度 実施状況報告書

ヘッセンバーグ多様体とトーリック幾何の繋がり

研究課題

研究課題/領域番号 23K03102
研究機関岡山理科大学

研究代表者

阿部 拓  岡山理科大学, 理学部, 講師 (00736499)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2028-03-31
キーワードPeterson多様体 / toric orbifold / コホモロジー環 / 旗多様体
研究実績の概要

本年度は,華中科技大学の曾昊智氏との共同研究で,Peterson多様体とtoric orbifoldの幾何学的な関係について研究を行った.以下,これについて説明する.
単連結な複素半単純代数群Gから定まるPeterson多様体を考えると,それに付随して(Gのルート系から定まる)あるtoric orbifoldが現れ,これら2つの代数多様体のQ係数のコホモロジー環が同型になるという現象が知られていたが,その幾何学的な背景はよく分かっていなかった(この2つの代数多様体は同型にはならないことが分かっている).本年度の研究により,Peterson多様体から対応するtoric orbifoldへの(代数多様体としての)射を具体的に構成し,この射がQ係数のコホモロジー環の同型を誘導することを証明した.Peterson多様体に関する研究はすでに様々なものがあるが,toric orbifoldとの幾何学的な関係を調べた研究はこれが初めてである.
また,Peterson多様体のコホモロジーの環構造は原田-堀口-枡田による明示的な表示が知られており,toric orbifoldのコホモロジーの環構造はJurkiewicz-Danilovによる明示的な表示が知られている.我々が構成した射は,これら2つの具体的な表示を自然に結びつけるものになっている.
元々,Peterson多様体は旗多様体の量子コホモロジー環を幾何学的に実現するためにDale Petersonによって導入された代数多様体であるが,Petersonの理論において量子パラメータの役割を果たす量が我々の射に自然に現れていることも分かった.本研究で調べたtoric orbifoldがPetersonの理論とどのように関係しているのかについては今後の研究課題である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は,正則なヘッセンバーグ多様体とtoric orbifoldの間の幾何学的な関係を明らかにすることであり,Peterson多様体は前者の中の特別なクラスである.このケースについて幾何学的な関係を明確に述べることができるようになったのは大きな進展である.よって,おおむね順調に進展しているといってよい.

今後の研究の推進方策

本年度の研究により,Peterson多様体のケースについてはよく理解できたといってよいので,今後はPeterson多様体とは限らない正則なヘッセンバーグ多様体について,toric orbifoldとの間の幾何学的な関係を調べていきたい.正則なヘッセンバーグ多様体のクラスの中で,Peterson多様体の反対側に位置する「permutohedral variety」のケースについては,対応するtoric orbifoldと(そもそも代数多様体として)同型になっているので,この事実も踏まえながら,一般のケースに望みたい.特に,まずはA型の正則ヘッセンバーグ多様体を調べていきたい.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が10,264円生じた理由としては,購入予定であった図書の購入を取り止めた事による.
これについては国内外の研究集会に出席するための旅費として使用予定である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件)

  • [国際共同研究] 華中科技大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      華中科技大学
  • [国際共同研究] Central College(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Central College
  • [雑誌論文] Geometry of Peterson Schubert calculus in type A and left-right diagrams2024

    • 著者名/発表者名
      Abe Hiraku、Horiguchi Tatsuya、Kuwata Hideya、Zeng Haozhi
    • 雑誌名

      Algebraic Combinatorics

      巻: 7 ページ: 383~412

    • DOI

      10.5802/alco.342

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] On singularity and normality of regular nilpotent Hessenberg varieties2024

    • 著者名/発表者名
      Abe Hiraku、Insko Erik
    • 雑誌名

      Journal of Algebra

      巻: 651 ページ: 70~110

    • DOI

      10.1016/j.jalgebra.2024.02.042

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Line bundles over regular semisimple Hessenberg variety for h=(2,3,4,...,n,n)2024

    • 著者名/発表者名
      Hiraku Abe
    • 学会等名
      Topology and Geometry of Torus actions and related Combinatorics Workshop 2024 in Himeji
    • 国際学会
  • [学会発表] Hessenberg varieties and toric geometry2024

    • 著者名/発表者名
      阿部拓
    • 学会等名
      第8回代数幾何学研究集会 ‐宇部‐
    • 招待講演
  • [学会発表] Peterson多様体とトーリック幾何2023

    • 著者名/発表者名
      阿部拓
    • 学会等名
      第49回変換群論シンホジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Peterson多様体の非負部分とトーリック幾何2023

    • 著者名/発表者名
      阿部拓
    • 学会等名
      南大阪代数セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Peterson varieties and toric orbifolds associated to Cartan matrices2023

    • 著者名/発表者名
      Hiraku Abe
    • 学会等名
      2023 KMS Annual Meeting
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Peterson varietyの多面体について2023

    • 著者名/発表者名
      阿部拓
    • 学会等名
      第5回ヘッセンバーグ勉強会

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公開日: 2024-12-25  

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